[コメント] フェスティバル・エクスプレス(2003/英=オランダ)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
1970年、列車を使いカナダを横断したロックツアーの模様を、当時の映像と参加者の懐古インタビューでつづる内容。そういや僕は2005年5月現在、記録映画だけでも四本も劇場まで観にいっています。
登場ミュージシャンのほとんどがアメリカ、しかもこの時期のアメリカンロックですから、当然ヒッピー、フラワー、ラブ&ピース全開です。個人的にはこのあたりのミュージシャンにはほとんど興味がない。
70年代なら僕は絶対にブリティッシュ。QUEENもデイヴィッド・ボウイもマーク・ボランもYESもLED ZEPPELINもみんな英国です。このころの英国ロックには華があります。気品があります。
ところがどうよヒッピーアメリカ、外見にはこれっぽっちも気をつかわぬヒゲダルマ、でぶ、そんなのばっかり。曲だってイージーゴーイングなものが多いような印象。でも、そんななか外見のハンデを強烈な歌唱力でのりきるジャニス・ジョップリンみたさに劇場にいきました。
■感想(1) やっぱりヒッピー音楽は退屈だ■
THE BANDがやたらクローズアップされていました。そういやザ・バンドはカナダ出身でしたな。演奏も歌もいいのですが、たとえるなら毒抜きEAGLESみたいなかんじで、いまひとつパンチがありません。
そしてでたよGREATFUL DEAD。好きな人には悪いのだけど、これ、アメリカでしかうけない音楽の典型みたいに僕は思っています。ジェリー・ガルシアは歌うまいんだけどね。声もすごくいいんだけどね。なんつか、リラックス音楽〜ってかんじで、あと、服装に無頓着すぎて、ロックに華やダイナミズムを求める僕としては、いまひとつのめりこめませんでした。
でも、ジェリー・ガルシアっていい人そうですね。
■感想(2) しかしバディ・ガイは凄かった■
先日観た『ライトニング・イン・ア・ボトル』でも、70歳ちかいのに強烈な現役ぶりをアピールしていたバディ・ガイの若き日の姿が登場! 圧倒的! ブルースがかった白人ミュージシャンもたくさんでていましたが、たばになってもかないません。僕もバディが歌いはじめたら、ブルブルっと震えてしまいました。ギターソロもほんまもんの大迫力、次元が違います。
■感想(3) そしてジャニス・ジョップリンはモンスターだ!!!!!■
映画中盤、とうとつにジャニスが登場します。
150センチに満たない身長、お世辞にも美女とはいいがたい外見、なんかちょこちょこっとでてきたジャニス・ジョップリンですが、歌いだすと魔神です! その声量! こんなちっちゃい人間のどこからこんな声がでているのか。スクリーンが破れてしまうのとちがうか。レイトショーだったにもかかわらず、本日の劇場にはかなりお客さんがいたのですが、ジャニスが出たとたん、声にならないざわめきがまきおこりました。
本当にこの人はうまいです。CDももっているけど、ライブだとさらに化けるよねえ、彼女。
このときジャニス・ジョップリンは27歳。この直後に亡くなるなんて、誰が予想しえたでしょうか。
■まとめ■
ヒッピー系バンドは少々退屈でしたが、他にも、オモシロ芸人みたいなバンドもでていて、全般的には楽しい映画でした。
貸し切り電車のなかの映像もよかった。才気あふれるミュージシャン同士だから、あちこちで即興のセッションがはじまる。黒人も白人もかんけいなく和気あいあいとジャムセッションを楽しむ姿は、たしかにラブ&ピースが実現した瞬間だったのかもしれません。
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