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[コメント] 歌ふ狸御殿(1942/日)

この時代にこんな楽しいものが作れた。それだけで充分と言えるだろう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 これまで結構な数が作られてる『狸御殿』の初期の作品になる訳だが、実に興味深い作品に仕上がってる。

 物語自体はグリム兄弟の「シンデレラ」の翻案で、意地悪な継母と義姉にいじめられていた健気な女性の嫁入りを描いただけの話で、それを純日本的な雰囲気で仕上げただけの話になるが、これが作られた時代を合わせて考えると面白い。

 本作が作られたのは1942年。日本は太平洋戦争に突入し、映画も国策に沿ったものがほとんど。そんな中、時代背景から全く離れた純粋なラブコメっぽいものが作れたという、それだけで画期的な作品となっている。しかもこう言った擬人化作品だと、何らかの批判精神を付け加えているものだが、それもない。本当に純粋な物語として仕上げているのが凄い。私なんかの場合、映画には批判精神を持っていてもらいたいと思っているタイプだけど、批判しか出てこないような時代に無批判の作品を作るというのは、それだけで素晴らしいと思える。

 更に、メインキャストが全員女性というのも見事。この時代だからこそ、本当に人物を生き生きと描けるのは女性描写だからなんだろう。

(評価:★3)

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