[コメント] ニライカナイからの手紙(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
沖縄といっても沖縄本島の様な中心地は知っていても竹富島がどこにあるのか全く分からず鑑賞後に地図で知ったくらいだ。この場所を知っていれば更に感情移入出来たと思うのでちょい失敗した感がある。ちなみに俺の様に知らない人用に書けば台湾と鹿児島間を1とした場合1/6の場所(つまり台湾のすぐ近く)にある石垣島の隣。風希が船で学校に出かける時に海の向こう側に市街地がうっすらと見えるがあれは石垣市なのだろう(2006年10月現在)。
そしてこの地理的条件が東京に出るということ自体が大変だ、という事を感覚的に感じさせる。埼玉に住んでいたお母さんが大阪に単身引っ越したレベルではない。なにせ竹富島と東京の距離は本土で言えば鹿児島と北海道の稚内間に匹敵する。東京がはるかかなたにある、そんな感覚にさせる街は現代の日本では殆どない。この映画の重要な条件なのだ。
ところで俺は映画のタイトルの意味を鑑賞前に全く考えなかった。風希とお母さんが冒頭で海を見ながら語るシーンで大筋の流れが読めてしまうはずなんだが実はその部分は真剣に見ていなかったので聞き逃した。タイトルとリンクしていたのも後から知った。おかげで最後の展開は(俺にとっては)ちょっとした衝撃だった。何せ途中で「何で電子メールとかにしないのかね。携帯まで使っているじゃん」とか思ってた位だったし。おかげで最後のお母さんの声で読み上げる手紙のなんと劇的に印象が変わる事か。それまで(偽善的なほど)棒読みだったお母さんの声が肉声に変わる瞬間は素晴らしい。年齢が上がるにつれて漢字が段々増えていくところにも涙が出た。
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ちょっと話がずれるが風希の20歳の誕生日の一日を追ってみよう。朝10時、吉祥寺の弁天橋、おじんと会う→井の頭線で渋谷の郵便局へ→再び井の頭線で弁天橋に戻る(おじんとすれ違い)→おじんを追って羽田から石垣島へ→船で竹富島へ→実家で衝撃の事実に→村の人、おじんも帰ってくる→夜、ガジュマロの木の下で手紙を読む
…すごい一日になったもんだ
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最後のシーンではさくらの花をプロのカメラマンとして地元で撮影しているという解釈でいいのだろうか?実際の田舎は退屈極まりなく都会の人間が言う「やっぱり田舎の方が良いよね」には十分反発を感じるのは百も承知で-しかし風希にはやはりあの島に住み続けていて欲しい-と思わずにはいられないのだ。幼なじみの彼氏もそう思っているだろうし。
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