[コメント] 樹の海(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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日本が“名物が自殺”と言われるようになって結構経つ。もはや自殺というのは割と身近な感じもあって、都内に住んでいると、昨今は電車が止まるのが当たり前という感じになってしまったし、かく言う私の周辺にも自殺してしまったという人間は結構ごろごろしてる。
特にその遺族というのが厄介なもので、そういう人にはなんと言って良いのか、言葉を失ってしまうものだ。
正直、人の命というのは自分一人のものじゃなくて、様々な存在との関わりの中にあるのだから、それを投げ捨てしまうと言うことは、数多くの存在を引きずってしまう。「俺の命なんだから好きにして良いだろう」とか言うならば、あらゆる関係を断ち切ってからにして欲しいくらいだ(出来ないけど)。
本作の面白いところは、まさしくそういった存在との関わりというものを主眼に置いていると言うことだろう。オムニバスなので、その物語は様々。関わりというものに気づいて、生きることを選択する人、逆に存在に引きずられて生きざるを得なくなってしまった人、あるいは存在を断ち切れないまま、それでも死を選ばずを得ない人。そんな哀しい人間の生と性を描いてくれている。テーマを持ったオムニバスだからこそ、後味の悪い作品も一本くらい作れるし、ハートウォーミングな話も入れられると、なかなかバランスが良い話になってる。
生と死は、いずれ誰しも直視しなければならないテーマなのだから、こういう作品も時折観ておく必要があるのかもしれない。地味ながらなかなかの良作。
メメント・モリ(死すべき存在であることを忘れるな)。
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