[コメント] 理想の女〈ひと〉(2004/英=スペイン=伊=ルクセンブルク=米)
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社交界の若夫婦に近づく女性の人間ドラマ。オスカー・ワイルド原作の「ウィンダミア卿夫人の扇」の映画化。
社交界が舞台の作品にしては珍しく、主要人物が皆、誠実で、義理堅いキャラなのが一線を画している。普通この手の社交界のゴシップを扱った作品となると、ゴシップの標的となる人物がどんどん追い詰められていって悲惨な結末をむかえる物が多いが、ウィンダミア夫妻のメグの出生の秘密を握り、夫のロバートとのゴシップの噂までたてられたアーリンは最後まで悲惨な結末にはならず、最後には彼女に惚れていたタピィとも結ばれしまうところが観ていてどこか微笑ましい。
アーリンが握るメグの出生の謎は、序盤から簡単に判明するので、それを後半にストーリーを急展開させるための伏線にしても、驚きはないと思う。
全体的に登場人物たちのやり取りがどこか表面的なので、ラストでのアーリンがメグをロバートに託して別れるシーンも、今ひとつその感動が伝わらず、なおかつその後にタピィが家庭を捨ててアーリンと結ばれる道を選ぶという意外性のある展開もやや全体からするとインパクトが弱かったのが残念。もっとキャラを掘り下げてドラマ性を出して欲しかったところ。
役者的には、アーリン役のヘレン・ハントが一見自分が生きるために次々と男を鞍替えする淫らな感じに見えながらも、娘のことを常に気に止め、心配する母親としての感情が入り混じる複雑な心情を繊細に表現している。メグ役のスカーレット・ヨハンソンも相変わらず演技幅の広さを感じさせる演技だが、今回はやや印象が薄かった。
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