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[コメント] 上海ドラゴン 英雄拳(1972/香港)

敵に斧を持たせる功夫映画がやたらと多いのは、本作に敬意を表しての事だそうです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実在した上海の英雄として知られる馬永貞。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の黄飛鴻と並び、結構映画にされ易い人物だが、黄飛鴻のような道徳的な武侠家ではなく、馬は純粋なやくざものとして描かれることの方が多いのが特徴。そう言う意味では過激な暴力シーンを売りにするチャン・チェ監督作品にはぴったりの素材。更に、ここでは主人公は武器を持たず、肉体一つで敵の群れに突っ込み、そこで功夫業を披露して敵をなぎ倒すという快感が得られる。

 この前に『片腕必殺剣』で武侠映画に新風を吹き込んだチャン・チェ監督だが、本作においてその立ち回りの格好良さにより、これまでの武侠映画一辺倒の香港映画に功夫映画を導入することに成功した。実際この作品の大ヒットが契機となり、ブルース・リーもジャッキー・チェンも映画界に登場したのだから、非常に重要な位置づけにある作品だとは言える。

 物語そのものは、腕っ節が強いだけの乱暴者が暴れてる内にストーリーが流れていくという他愛ないもので、物語としてはかなり稚拙なものだが、それを越えてアクションの派手さが目立つ。血しぶきが舞い、苦しみにうめく敵の姿など、剣で斬られてすぐに退場するのではない生々しさが本作の信条だ。

 それは主人公にとっても同じで、マーは敵によってどんどん傷つけられ、どんどん痛ましい姿に変えられていく。しかし、それでも戦い続け、最後は相打ちでも敵の首領を倒す!男臭さ満点で、快感度は非常に高い作品となってる。なんせラストではどてっ腹に斧ぶっ刺したまま立ち回りまでしてるんだから。

 アラはとてもたくさんある作品だけど、これが功夫映画の原点。という思いを持って観るなら、とても感慨深い作品になるので、功夫映画ファンだったら必見。

(評価:★3)

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