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[コメント] お早よう(1959/日)

杉村春子さんの愚痴のうまさは日本一ですなぁ。
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







我が家で昔、「握りっぺ」が流行ったことがあったんですよ。放屁を掌の中に握り込み、他者の鼻先に向けて解き放つ、アレです。で、僕と僕の兄とで喜び勇んでプップやりながら応酬を繰り返し、果ては仕事帰りの父親にまでぶつけてやったわけですよ、おならを。そうしたらね、まあ、普通に叱られましたね。作中の笠智衆さんみたいな感じじゃあないですよ。ガチンコです。それ以来、おならをそうそう人前でやってはならんと学びましたね。

しかし、本作を観て考えを改めました。愛がこもっていれば、おならの音さえ清々しい!

ある出来事をきっかけに兄弟は「挨拶」含めすべてのバーバルコミュニケーションを閉ざしてしまいます。それは、周囲の人間に不信感を与え、要らぬ軋轢をご近所にまき散らすことに。しかし、その禊を終えた時、口を衝いて出る「お早よう」の響きの何たる朗々さよ。

日々の儀礼にも似た「挨拶」の力を感じました。それは「お早よう」であり、「行ってまいります」であり、「ごめんください」であり、「良い天気ですなぁ」なわけです。それはおならだって同じこと。そのすべての中に周囲の人々への何気ない「ILOVEYOU」が込められているんですね。

ああ、なんだか実家のおふくろに電話の一本でも入れたくなってきたな。受話器から聞こえる僕のおならを聞けば、きっとおふくろも喜んでくれることでしょう。ちゃんちゃん。

(補記)しかし、脚本がほんとにうまいですね。特に、近所のおばちゃんたちが自分たちが言い出した陰口に自分たちで翻弄されている様子は滑稽でしたよ。ああいうことってあるよね、ほんと。

(評価:★4)

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