[コメント] スネーク・フライト(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ちょうど70年代。一時期ではあるが動物パニックものと言われる映画が流行したことがあった。害虫や毒虫。あるいは猛獣など、数多くの動物たちが人間を怯えさせる為に次々登場していった。ブーム期間は短かったし、早撮りを余儀なくされたため、本気でどうしようもない作品ばかりだったが、それら数多くの動物パニック作品が映画界に与えた影響は決して小さくはない。以降ハリウッドでは定期的に動物が人間を襲う映画が作られていくようになったし(『ジョーズ』が一番有名だろうが、これから派生した鮫の映画はものすごい数に上る)、これらの低予算作品の出身、あるいはこれに触発された映画少年も数多く、特にアクション畑の中堅監督にはこれらの作品の影響が拭いがたく残っている。それにいろいろな動物を使ったおかげで、どんな動物が一番効果的かも分かるようになった。先に挙げた鮫はその最たる例だが、他にも蜘蛛と蛇は完全なる定番として作られ続けている。
一方90年代。航空パニック映画というのが一時期流行した。これまた期間としては短いが、丁度CGの活用時期と言うこともあって、好んで空の描写が作られていった。飛行機は容易に密室状態が作れるので、サスペンスを演出しやすいのもあっただろう。ただシチュエーションがみんな似たようなものになってしまうため、結局飽きられてしまったが。
この二つの要素をぴったりと合わせ、ホラー的な要素をちょっと加えつつ軽快な演出で仕上げたと言うのが本作の最大の売りとも言える。70年台の映画に思い入れのある人にもうまくアピールされ、昔懐かしい雰囲気の中に浸りつつ、演出を楽しむ。映画に思い入れがない人にも、逆にジャンル映画好きな人にも同時に取り込むことが出来た珍しい例。
どきっとさせてほっとさせる。この連続の作品なのだが、一つ一つの演出が丁寧で飽きさせることがなく、誠実そうなジャクソンの役柄が軽く流れそうになる雰囲気を引き締める。さらに演出のはしばしに思わず古い映画ファンがニヤッとするものが含まれる。と、実に小憎らしい演出が光る。新しい映画では決してないが、古い作品をうまく組み合わせ、見栄えは最高レベル。
ジャンル映画苦手な人以外であればおすすめできる好作と言えるだろう。
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