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[コメント] テニスの王子様(2006/日)

ストーリーがクズ同然であっても、特撮がチープであっても、キャラがおかしくても、全て良しとする。そんな映画が時にあっても良い。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 漫画の方は話が進むに従って、ほとんど人外魔境の境地に達しており、それを割と忠実に映像化したアニメ版はテニスよりもむしろバトルものになっていたもんだが、本作はまだコミックの初期。まだギリでテニス漫画の範囲に留まっていた。

 この時期の部分を実写にするのは正しい判断だったと思われる。少なくともこれでテニス映画のカテゴリーに留まるはず。

 …と、観る前までは思っていたのだが、私の考えは完全に甘かったことをこの映像は叩きつけてくれた。最初っからテニスをさせるつもり無かっただろ?この作品観た時は、あまりの無茶苦茶さに、本気でどうしようもない作品だと思ってしまった。

 そして本作を観てから、随分時間が経った今も実はその感想自体は変わってないのだが、少しだけ評価は変わった。

 そもそも特撮監督のアベユーイチを監督にしたという時点で、この作品が普通の作品に留まるはずはないと察しを付けておくべきだったのだ。これは最初から無茶苦茶をすることを前提に作った作品なんだから。

 単純に言えば、これは「テニスであって、それとは非なるもの」と言うべきだろう。

 とても中学生とは誰も思えない濃いキャラ達。超能力バトルと見まごうばかりの試合。拷問まがいの特訓と、それをけろりと耐えてしまう身体能力の持ち主達。どう観てもこれ、スポーツに思えない。

 それらを特撮とCGを駆使してそれをきっちり映像化してくれてるあたり、確信的に無茶苦茶にしようとしていることが分かるし、それに手を抜いていないという姿勢は素晴らしい。韓国映画の『火山高』(2001)あたりのスポーツ版と言った風情だ。

 その割り切った姿勢や良し。

(評価:★3)

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