[コメント] ヴィオランタ(1977/スイス)
なんと緩慢なカメラ、なんと緩慢な空気、なんと緩慢な人々。この人の体内時計はどうなっているんだろう。もはや自国の時計職人にケンカ売ってるとしか思えません(笑)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の小舟の揺れにたゆたうカメラで、すでに軽い酩酊感。一体どこへ向かうのかと思っていると、それはもう(例のごとく)あまりに奇妙な、珍妙な世界。
映画の前半は人物の相関図が把握できなくて、物語についていけるかと心配になっていたけど、しばらく観ているうちに、もうこの映画はただ生者と死者の奇妙な戯れに夢うつつになれば、もうまさにそれだけに過ぎない映画なんじゃないか、と。少なくとも自分にとってはそれだけで十分です。
冒頭の水路は彼岸と此岸の間に横たわる川、その渡し舟に身を任せながら両岸の住民を同じ視界にとらえつつ、しまいにはどちらがどちらの住民なのかすら危うくなってくる。これは臨終の床で見る束の間の風景なのかもしれない。なんてことを思いながら、どんどん妄想も加速するばかり。
常軌を逸してるとしか思えない低速回転で映し出すの山々のパノラマや、婚礼の行列シーンや、時折不意を打つかのような音楽のミスマッチなどをはじめとして、緩慢さと唐突さが妙に違和感なく同居している世界は、まさにシュミット監督。これまた唐突なコントラスを見せるラストシーンなんか、もうどうしようもなく嬉しくなってきます。ぺペロンチーノさん風に言わせて頂くと、「わははは!シュミットだ!シュミットだ!間違いなくシュミットだ!」(無断でスミマセン)。
(2006/11/19)
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