[コメント] アメリカン・ドリームズ(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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一般人にとって、テレビは楽しむためのものだが、その中で限られた一部の人はテレビを利用することを考える。それは金儲けの道具であったり、大統領の戦略であったり、自分自身の売り込みであったり、あるいはシャレにならないテロのパフォーマンスであったり…そんな人達が作り上げる欲望渦巻くテレビの裏側。これをブラック・ジョーク化した作品は既に『ネットワーク』があるが、本作ではかなり表現的にはソフトに描かれ、純粋なコメディになってるのが特徴かな。その分毒気は抜けてるし、物語もやや一本調子のきらいがある。
しかし、本作の場合、キャラクタの描写に重点を置いた作りだと言えようか。受けること、視聴率を上げることを最大の使命と考えるテレビ側のキャラにグラントを配し、極めて冷静に、しかも何事が起こっても片頬を歪めて笑うだけのシニカルなキャラを作り上げた。アメリカの話なのに何故イギリス人俳優?と最初は違和感を覚えたものだが、成る程この人だからこそ、この役ができるんだな。見事に物語を引っ張っていってくれた。それを取り巻く、腹に一物在るキャラの描写も上手い。マーティンを利用して自分がスターになろうとするサリーはまだ可愛い方で、最初は単なる純朴な青年だったのに人間的なしがらみと、使命とに挟まれ、苦悩しつつ、芸がますます冴え渡っていくオマールが良い。命が無くなることを前提としているので、芸の内容がどんどん反イスラムになっていくのも皮肉だ。それでテロの標的にされる大統領側は大統領役のクエイドが無個性なのに、それを取り巻くデフォーやハーデンと言ったキャラが濃すぎるのも楽しい。ほんのちょい役だというのにデフォーは徹底的に個性見せてたね。相変わらず見事な芸だ。
苦笑いできる作品が好みという人にはお勧めできる。
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