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[コメント] フィニアンの虹(1968/米)

コッポラ作品は酒とおんなじで古いものに限る。35年物の活きの良い作品をどうぞ。って感じだね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 元は大ヒットした(この興行成績はブロードウェイ歴代2位だそうだ)ミュージカルの映画化作品だが、これを一言で称すれば、「おもちゃ箱をひっくり返したような」作品。展開がいったいどのように変化していくのか、全く読めない。一応ミュージカルだから、唐突に踊りが始まって、しかもその中で物語は刻々と変化していくし、魔法も出てきて、次の展開が全く変わってしまうので、飽きさせることだけはない。

 表現そのものは結構稚拙な上にご都合主義な部分もかなり見受けられるが、それでも画面からほとばしり出るような圧倒的なパワーと、暖かい笑い。何より登場人物たちの笑顔が何にまして素晴らしい。笑ってほんのり心が温かくなる。私は暗い、深刻な作品も好きだけど、こういう突き抜けたような明るくて馬鹿笑いできる作品も大好きだ。

 本作においてはやはりフレッド=アステアがいい味を出している。もうこの時70歳に手が届く年齢だったはずだけど、明るい笑顔と、老いたりとは言え、往年のタップまで見せてくれるサービスぶりが気に入った。それに最後、壺の力を全て使い果たし、新しい虹を探しに出て行く表情がとても良し。

 コッポラ作品においては異色作になるんだろうけど、監督の幅広さを見たような気分。近年ろくな作品を撮らない(撮れない?)けど、こう言った突き抜けたような作品を又撮って欲しいものだ。

(評価:★4)

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