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[コメント] 机のなかみ(2006/日)

ここから始まる吉田恵輔監督の明確な作家性
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







吉田監督の作品の特徴を以下に3つ挙げる。

1.さえない生活をおくる男が突如現れた若い女にゾッコンになる 2.男の知らない女の別の一面が露わになる。 3.最終的には元のサヤに収まるかにみえるラストを迎える

本作も、この後に続く「純喫茶磯辺」「さんかく」も、概ね忠実に上記のパターンを継承している。

作中に登場するキャラクターの特徴としては、一般的に男は夢想家として描かれ、女は表にみえる顔とは別の一面をもつか、あるいはコンプレックスに苦しむ生物として描かれている。また、「せまい間取りの家」「喫茶店」なども常々重要なモチーフとして採用されている。カメラワーク(定点であまり動かない)とオフビートな会話劇という意味では、初期の山下敦弘監督の作品と似通う部分もあるかな。

若い女性(特に未成年)の描写に並々ならぬフェティッシュな情熱を感じるが、作品全体をみれば、小ぶりではあるが安定したエンタメ作に仕上がっている。新作が楽しみな監督の一人。

(評価:★4)

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