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[コメント] 大砂塵(1954/米)

まさに異色西部劇。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 旧来の西部劇とは一線を画した珍しいタイプとして有名な作品。主人公は一応スターリング=ヘイドンだが、話の中心となって、更に撃ち合いまでするのは女性であるクロフォードとマッケンブリッジであり、男連中はみんな彼女たちの個性に引きずられるだけという。こういう画期的な要素があったお陰で大きな話題となった。今から考えると可愛いものだが、当時は“フェミニズム映画”とまで言われ、主題歌「ジョニー・ギター」はスタンダードナンバーとなった。

 とにかく本作の売りは「強い女性」これに尽きる。西部の荒くれ男に囲まれ、自分自身の居場所をしっかり持とうとしているクロフォードの姿は、演技と言うよりも素の魅力が溢れている。いくら机上に振る舞っても、やはり時折訪れる寂しさ。その辺も巧く演出できていた。そして彼女に対抗するのはマッケンブリッジ。彼女の場合、外側は清楚な感じでありながら、心の中は燃えさかる炎のようなもんで、当然二人の折り合いは悪い。敵役にこういう魅力的な女性を配することが出来たのが強みだろう。それでこの二人の迫力に押されて男連中がすっかり弱まっているものの、ヘイドンが飄々と演じていたのは物語的には正しかったのだろう。巧い具合に男連中の抑えが利いてるのが本作の成功点だ。

 尤も話そのものは結構ぬるめなので、結局人物と設定で観るべき作品と言うことになるだろうか?

(評価:★3)

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