ドラマは2〜3回しか観た事がなかったので、実際のところ劇場版を観ても楽しめるか不安だったのですが、ものすごくのめり込んで観る事が出来ました。推理系･犯罪系が苦手な私でもここまで興味深く観る事が出来たので、この手のジャンルが好きな人はもっと楽しめるのではないかと思います。（むしろ逆なのかな？）

意外な事に今作が映画初出演にして初主演のやまぴー、演技の拙さが気になるかなーという心配もあったんですが、山崎努さんとのやり取りなんかは非常に良かったと思います。やまぴーの拙さ（というか、フレッシュさ？）を逆手に取って「まだまだ未熟な黒崎」をうまく表現していたなと思いました。やまぴーは何度か山崎さんのお宅に招待して頂いたり、プライベートでも交流があるそうで、演技について指導してもらったりしているそうです。彼をとても尊敬しているんだなっていうのが伝わってくるんですが、そういうところもこの作品に良い影響を与えているなと感じました。やまぴーが山崎さんの胸を借りてのびのびと演技しているのが伝わってきたからです。

また、前半はチャラい感じも少し織り交ぜ、映画の世界に入り込みやすい状況を作って、観客が作品に乗ってきたなという後半からドンと重くする作り方も良かったと思います。

それから『ジュリアス･シーザー』や『マクベス』での名言をモチーフに、詐欺の世界やこの世の儚さを表現していたのも良かったです。それから影絵を効果的に使っていたのも面白かった。その儚さが黒崎の人生観とリンクしていて、この作品のテーマが非常に分かりやすく伝わってきました。

伝えたい事もそうだけど、窓ガラスを流れる雨を黒崎の顔に映して、まるで泣いているように見せたりと、黒崎の心の闇も最適な表現方法で見せてくれたのが、この作品を面白いと感じた要因だと思います。

まぁ…そんな変装でバレない訳ないだろ！っていうツッコミもありますが、そこら辺は大目に見てあげてもいいかな。・・・甘い？だってやまぴー可愛いし。

この監督、映画を撮ったのは初めてらしいですが、向いてるんじゃないかなって思いました。なんとなく続きがあってもおかしくない終わり方だったので、もし続きがあるんだったらまた映画でやってほしいなと思いました。

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08.03.06　記