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[コメント] 黒い家(2007/韓国)

原作、邦画版、本作はどれも精神的に嫌なものを見不快感が作品の味になっているのは共通してるが、闇の深さは本作が一番凄かった。少なくとももう観たいと思えないレベルで。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 最初にオリジナル版の『黒い家』を観て、なんて気持ちの悪い作品だと思いつつ、ふらふらと原作まで読んでしまった。その後リメイク版の本作を観て、三作品ともそれぞれに怖さが違うということに気が付いた。

 元々の原作は小説なだけに、ビジュアルとしての怖さがないが、その分描写に容赦がなく、濃密な怖さがあった。行間にある闇なんてものまで感じさせる、なかなか素晴らしい作品だった。

 一方、映画のオリジナル版では、何といっても大竹しのぶの怪演ぶりが印象に残る。基本無表情でいながら、場面場面で変わる表情が、徐々に恐ろしくなっていくという過程が上手い。邦画のサイコホラー作品としては出色の出来と言えよう。

 対していわゆる韓流ホラーと呼ばれるジャンルの本作は、別種の怖さがあった。

 その怖さってのは、一言で言ってしまうと、誤解を受けそうな言い方だが、“汚さの描写”と言えるかもしれない。

 邦画におけるサイコホラーは基本的に脳を主題にし、出来るだけクリーンに描こうとする特徴があるが、韓国の場合は、主題が心というか、内臓をぶちまける方向へと行くのが特徴だ。それは誰しも綺麗な体の中にドロドロしたものを持っていて、外面を取り外して、誰にも観せたくない部分をさらけ出す事が怖さの描写につながると言う特徴を持つからだろう。

 だから外面的には血よりも濃い液体や物体を体から流すし、言葉としては観たくもないし聞きたくもない告白が次々と飛び出す。

 その嫌悪感が恐怖の演出に一役買ってるわけだ。日本では演出出来なかった部分の演出に力がこもっていることで、実に立派なホラーになってる。 

(評価:★3)

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