[コメント] リトル・ロマンス(1979/米)
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ヴェネツィアにあるためいき橋の下でキスをすると、決して二人は離れることはない。というサンセット・キスの伝説を世界中に広めたヒット作。ちなみに劇中で明かされるが、これは本当の伝説ではなく、オリヴィエ演じる詐欺師の老人が出任せで言った言葉からだった。この作品観るまで、てっきりその伝説は本物かと思ってたよ。だってテレビドラマとかで嫌と言うほどこれを繰り返してやってたし。『ローマの休日』の真実の口の例もあり、映画が観光に与える役割って凄く高いようだ。
ピュアな恋愛物語を語るのは今となってはかなり気恥ずかしいので、本作をちょっと横から観た楽しさをここでは語っていこう。
主人公のダニエルはかなりの映画マニア。とはいえ13歳なので、かなり背伸びした発言が多く、相手が分かろうが何だろうが分からずに、とにかく自分の知識を披露したがる。その中にローレンに向かって自分のことを「ボギー」と名乗り、「ボギーとローレンはいつも一緒なんだ」なんて、なかなか気障ったらしいことを、言ってのけたり(言うまでもないがハンフリー=ボガートとローレン=バコールの、おしどり夫婦のこと)、オープニングカットで観ている映画がロイ・ヒル監督の『明日に向かって撃て!』だったり、映画好きにはニヤニヤできる台詞やカットが出てくる。細かいところだが、コメディとして色々小技が使われているのが心憎い。
後はやっぱりキャラの上手さだろうね。本作がレインのデビュー作なのだが、この年齢でしか出来ない事をしっかりと演技指導されているし、この年齢だからこそ許される背伸びっぷりも良し。ベロナールも上手かったんだが、残念なことに本作しか出演作がないのね。でも本作で一番上手かったのは、言うまでもなくオリヴィエ。初老の小悪党という、おおよそ彼のキャリアでは考えられない役なのだが、良い具合に脂が抜け、良いはまり役を演じてくれてる。この人も役者として良い歳の取り方をしたんだね。
物語の気恥ずかしささえ無ければ、もっと点数は上げても良いんだけど。私にはかなり物語を追うにキツイ作品でもあった。
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