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[コメント] 劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事〈デカ〉(2008/日)

懐かしの東映まんが祭りを彷彿とさせる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 東映まんが祭りが始まってずいぶんな時間が経過した。多数の作品を30〜45分放映する形が、平成仮面ライダーシリーズの映画に力を入れはじめ、何年か前からは、その当時放映中の「仮面ライダー」と「戦隊」の併映になるようになっていったが、やはり年に一回のお祭り企画という体裁をしばらくの間取っていた。それがこの年あたりから崩れ始め、東映特撮作品が年に数回上映されるようになっていった。その第一回目となるのが本作だった。

 これには平成ライダーシリーズの最大のヒット作「仮面ライダー電王」の存在が大きい。放映時大ブレイクした「電王」の復活を望む声は大きく、これなら劇場をもう一本作っても大丈夫と東映首脳部の判断によるもの(まさかそれで5年以上も続くシリーズになろうとは思ってもみなかっただろうが)。

 タイトルから分かるとおり、一応本作は、丁度放映中の「仮面ライダーキバ」をモティーフとしている作品だが、「キバ」主人公の渡と音也は狂言回しのようにしか登場せず、あくまで中心は「電王」の良太郎(とイマジンの面々)で、彼らが私設の時空を渡る警察として働くというのが骨子となる。本当を言えば、時の電車デンライナーは「キバ」の世界特有の二つの時代をつなぐ役割を担えるはずだが、その辺もかなりぞんざいに扱われている。

 東映はテレビシリーズで何作もの刑事ものを作っているため、その辺は手慣れたもので、事件の発生から経過、決着までを時空変動を絡めてそつなく作り上げているが、ものがヒーロー作品だけに事件そのものはさほど重要視されることなく、むしろ個々のキャラクタの活躍を最重要視し、彼らが生き生きと活躍しているのを観て楽しむ側面が強調されている。これは元々のテレビシリーズの持っていた魅力を端的に表した形であり、だからこそここまで続く作品になったことを再認識させてくれる。元々が物語よりも際だって個性豊かなキャラクタを観ることが主眼だったのだから。だから、最もいい形で映画化されたものと受け取っていいだろう。

 尤もその分物語は割食っていて、深みなぞ薬にもならぬほどで、本気でどうでも良いような話になってたのも確かだが…

 東映まんが祭りの直接の系譜として、お祭り作品と割り切って観るのが正しい観方なんだろうな。

(評価:★3)

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