新しいのは濡れ場をモロに描いたこと(といっても普通に見れば十分抑制的ですが)。それから素人に声をやらせたこと。そしてほんの少しポジティブなメッセージがあったこと。

他はいつもの押井守節ですね。

日常を丁寧に描くのは彼が今まで何度もやってきたこと。ポジティブなメッセージは最後のほうにあったが、基本的にはペシミズムと閉塞感に覆われている。戦闘シーンの空気感、迫力は凄いが、絵をきっちり作るのはこれまでやってきたことの集大成だ。衣ずれなどの音響への執着は今回は特に凄い。一般人が戦争のニュースに群がるシーンは『パトレイバー２』を思い出した。

新しくなって良くなったのか悪くなったのか。濡れ場はあって良かったと思う。菊池凛子は良かったし、加瀬亮とトキノの吹き替えの人も悪くなかったが、栗山千明は下手すぎた。「君は生きろ、なにかを変えられるまで」「いつもと同じ道でも、景色が違う。それではいけないのか」と言い残して、ユーイチは圧倒的な敵に挑むのだが、これには素直に感動したし、たしかに押井守のメッセージは受け取った。