[コメント] ゲット スマート(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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往年のテレビシリーズ「それゆけ!スマート」の約40年ぶりの映画リメイク。ちなみに私もぎりぎりこの番組を覚えている世代に入る。
当初、「へえ、あれがねえ。そんじゃ公開したら観に行くか」などと考えていたのだが、予告編を観て、「これはつまらなそう」。に変わってしまった。あの予告では、半人前のスパイが背伸びをしてドジばかりやらかすという内容にしか見えなかった。これじゃ単なる痛々しいコメディにしかならないだろう。その程度のものを観る必要性はなし。と判断した訳だが、出来たものをレンタルで観て後悔した。無茶苦茶これは好みの話だった。
ある意味これを劇場で観なかったのは失敗だった。いや、「それ行け!スマート」のリメイクなら、単なる痛々しいだけの話になるはずはないことを最初から知ってなければならなかったのだ。下手糞な作りの予告に惑わされ、その程度考察できなかった自分の不明が恨めしい(映画にとって予告は結構重要で、これだけで屑作品を面白そうにも見せられるし、逆に良作をどうしようもない作品に見せてしまうことも出来る。この作品の場合、明らかにそれは後者だった)。
実際、予告で見られた主人公スマートのドジは実際に劇中でも用いられてはいる。だけどそれはその後の機転による反撃を演出するためのもので、ちゃんと伏線になっているのだ。そこら辺を演出できない予告編だったんだよな。
それで本作の特徴だが、『007』以来伝統のスパイアクションをベースにしていながら、そのアンチテーゼを徹底的に詰め込んで笑いにしたもので、格好悪さが逆に格好良く見えてしまう逆転の作り方がうまくはまった作品になっている。アクションにしても一つ一つにきちんとひねりを入れて一筋縄ではいかせない。よく練られた演出方法でもある。
その主人公役のカレルが又上手くはまってる。この人は決して美男ではないし、一見真面目すぎるような容貌をしているのだが、それを逆手に取ってナチュラルボケ役を上手いことこなしており、大まじめな顔で馬鹿なことをやってみせたり、逆に馬鹿としか思えないことが見事にはまっていたりと、魅力を見事に活かしていた。特にスパイの最後の武器がキスってのは、まさしく007のショーン・コネリーのことを思いっきり意識しているところが良い。あれはコネリーだからこそ出来たことだが、これはカレルだからこそ出来たことでもある。確かにこれを観ると、キッスというのはとても重要な要素には思えてくる。
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