日本全体が海外から見捨てられるほどの大混乱のはずなんだけれど、舞台は東京郊外の一市民病院からほぼ離れることなく（離れるときは潔くパスポートレベルで離れるので現実感ゼロ）、起承転結ほぼすべてそこでまかなわれているのが、ここが変だよ日本人。こういう設定なら、せめて大学病院とかにできなかったのかね舞台を。

そして、思い出したように都心部から煙が上がっていたりゴーストタウン化してたりの映像が挿入されるんだけど、登場人物はどんなに事態が深刻になってもみんなやたらと小奇麗な服を着て、やつれも見せず、オシャレキャンドルをともして夜を過ごしている様子。

パンデミックやそれが引き起こすライフラインの断絶が、実際には私たちの生活にどのような影響や変化をもたらすのか、そういった現実感や不安感が一切伝わってこない、どっちかってと美男美女の淡い想いのペーソスに謎の感染症は如何ですか的なみせかたになってしまっているのが残念至極である。