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[コメント] ルーキー(1990/米)

意識は高く、やりたいことはたくさんあったのは分かりますけど、それをまとめる事が出来なかった作品ですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 有名な役者が監督としても実力を発揮したという例は数多くあり、中には監督賞でオスカーを取るような人も結構いるのだが、イーストウッドはその中でも、決して単なる芸術指向ではなく、エンターテインメントを目指しつつ、しっかりした作品を作る監督として評価が高い。

 それで彼の監督作にはアクション作品も結構あるのだが、その中では多分大はずれの作品と言えるのが本作ではないかと思う。

 アクションシーンの派手さは充分だし、キャラの複雑さもあって1980年代のアクション作品として考えるならば、そこそこの出来とも思えるのだが、いかんせん消化不足としか思えない部分が多々…

 これはあるいは、イーストウッドの最高のはまり役『ダーティハリー』(1971)でやり残してしまった部分を自分なりに作ってみよう!と言う思いを持って作られたのかも知れない。そう考えると色々頷ける部分もある。ここでイーストウッド自身が演じるニックは、捜査のためには手段を選ばないキャラクタ。つまりハリー=キャラハンのようなキャラに作られている。先ず歳食ったハリーというキャラを考えたのか?そして『ダーティハリー』シリーズを通してのやり残し、人間を描けなかった事を反省して、ここでは複雑な人間の内面を描こうとしたのではないか?シーン演じるデヴィッドは誤って自分の弟を殺してしまったと言う引け目をずーっと持ち続けているというキャラクタ描写にそれが現れている。

 しかし、逆にそれは、『ダーティハリー』の残りカスに過ぎない。しかも主役を二人にしたお陰で焦点が一定せず、特に中盤以降はアクション部分に偏りすぎて、しかも派手にすればするほどメリハリが無くなっていく。いくら何でもあそこまで無関係な人間を巻き添えにしたら、逮捕どころの騒ぎじゃなかろう。

 それで一番の問題は最後じゃないかな?結局デヴィッドは父親と和解することなく弟との過去のことを清算できないままだし、ニックは急に出世して偉そうなそぶりを見せる。意外と言えば意外な終わり方かもしれないけど、このいい加減な終わらし方には腹が立つばかり。

(評価:★2)

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