[コメント] ミルク(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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70年代アメリカでおこった大きな社会運動は、ヴェトナム戦争反発が契機であったため、その多くは平和に関するものだった。しかし、世界平和を求めた結果、小さなものに目を留めることの重要性に目覚め、やがてマイノリティの権利を大きく拡大させるに至った。
マイノリティと言ってもいろいろあるが、なかなか理解されにくい(現代でも尚)セクシャルマイノリティについて真正面から論じたのは、ハーヴェイ・ミルクこそがその第一人者であった。この人の存在と言動は、ゲイ・ムーブメントにおける重要な役割を果たしたのだ。その功績を良いところも悪いところもきちんと描いてくれた。
その成果はともかく、偏見をはねのけたその姿をハリウッドが作ってくれるようになったという一事をまずは喜びたい。
ただ、設定が素晴らしいのは置いておいて、作品自体としてどうか?と言われると、結構微妙なところがある。そもそも私自身はリベラルを自称しているし、実際そういった性同一障害に悩む人とも付き合いがあるものの、直接的表現が出されると、やっぱり引く。この辺私自身の問題もあるのだろうけど、本作の場合それが結構な割で出てくるので、ちょっと受け入れがたいものを感じてしまう。
極端な接写と手ぶれの激しいカメラ・ワークも本作では極端に出てしまった感じ。このカメラの特徴としては、登場人物の心理描写で本領を発揮し、人物の不安さを演出するにはとても効果的なのだが、この作品に関してそれがプラスに働いているようには見えない。 そういえばヴァン・サント作品は『エレファント』からかなりタッチが変わった。妙に揺れるカメラ・ワークや、接写など、どちらかと言うと素人っぽくなったのだが、『エレファント』の場合このカメラ・ワークはとても良く働いていた。最初観た時は、明らかに演出が後退したように思えてびっくりしたものだが、それが実はキャラの不安や微妙な恐怖感をカメラによって演出していることが分かって、後半部分はとても感心できたのだが、本作でもそのタッチを継承してしまった。日常に忍び込む悪意と狂気を描くには良いけど、伝記でそれをやると、ちょっと違和感が残ってしまう。
後、ヴァン・サント作品には、女性キャラが極端に少ないものが多いという特徴もある。特に主要となるキャラに関してはそのほとんどが男性ばかり。これまでの作品ではそれが性的な意味を持たなかった(あるいはあったのかもしれないけど、感じられなかった)のが良かったのだが、本作ではそれをモロに一歩踏み出してしまったのは、趣味から外れてしまう。
そういう意味で、いい部分と悪い部分がどっちも出た作品ではあり、評価は中間点とさせていただこう。
(評価:)
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