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[コメント] ラガーン(2001/インド)

「我らの願いを聞き届けてください。苦しむ者に安らぎを、苦難に負けないよう。弱い者に庇護を、楽しく暮らせるよう」
Lostie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







3時間44分。長い。長いよ。年貢(地租=ラガーン)の納め時にしても長過ぎるよ。こんなに映画が長くては、コメントも長くならざるを得ない。だって、いろんな事があり過ぎて。そして、言いたい事があり過ぎるんだよ。「飛ばすが悪く思うなよ」(by ブバン)なんだよ。宗教、人種、身分、障害、まとめて運命変えたいんだよ。

***良いところ***

魅力的なキャラクターたち。ゴゥリは最初そのウザいキャラクター(と女優さんの演技)を見て、「こいつぁ、いろんな意味で足引っ張るぜぇ・・・」と思っていたが、長時間かけて「ウザい」→「ウザカワイイ」→「カワイイ!」と変遷していった。

(ほとんどの)歌と踊り。白眉は「クリシュナの生誕祭」かな。楽曲も振り付けもカメラワークも全て良い。充分に統制されていながら、それでいて余裕(ユルさ)も感じさせる群舞も心地良い。エリザベスの「西洋人(つまり外国人)」としてのリアクションもとてもナチュラルで、良いスパイスになっている。バーガの意味不明なぐらいの満面の笑顔や、難しい振り付けが一段落した途端にぬる〜っと乱入してくるグランたち(演技は出来ても、踊りは苦手?)など、細部も素晴らしい。

(個人的に)久しぶりに見た"INTERMISSION"(休憩時間)。お言葉に甘えてトイレに行かせてもらった。

今もなお解消されきっていない「カースト制度」の問題に、不器用ながらもまっすぐ踏み込んだ。ラカの「カチュラ、出て行け!」というセリフがまるで野良犬に対して言っているようで印象的だった。もちろん、その直後の「まあ、触ったわ!」というセリフも(カチュラは「アンタッチャブル(不可触賎民)」と呼ばれる、最も低い身分だろう)。ただ、カチュラに才能が無かったら(スピンかけられんかったら)どうなったんだろう、という思いもあるが。

頭にボールをぶつけられたラカを見て、咆哮しながら打席に向かうバーガ。それまで鳴っていた音楽がプツリと途切れることや応援する大観衆をバックに移動撮影など、なんか良い。「音」が良い。あと、正面でもバックでもなくサイドから撮っているのも良い。単純な奮起のシーンではあるが(あと、うっすら同性愛を匂わせているかな? バーガは「っぽい」ちゃあ「っぽい」んだが)、個人的にはここは「魔法の瞬間」だと思った。

終盤の「判官びいきでノーボール」疑惑。いや〜、あの審判空気読むね。それとも、前日夜の「祈り」がやっと神様に届いたか。というかもう、あの審判が神様か。楽に勝たせてはくれんけど、チャンスはくれた神様。そのチャンスを見事モノにした、ブバンの一発。まあ、本当にヤードリー(投手)の足がラインを越えてたとして、つまり、「ライン(国境線)を越えてズカズカ迫ってくるようなイギリス野郎には、一発キツいのお見舞いしてラインの外(インドの外)に追い出してやる! そら白旗も揺れるぜ! 泣きつくがいい!(by グラン)」ってことだな。

「前庭に木がある家は一軒だけだ」「わかるだろ。それは俺の家だ」

***悪いところ***

エリザベスによる基本的なルール説明をゴゥリの「嫉妬」で潰したこと。おそらく観客はみんな知ってるだろう、という前提でスッキリと省略したんだろうが、この演出は個人的には凶と出た(ルールを理解するのに時間がかかった)。どうせ3時間越えの映画。クリケット知らんし、鑑賞前に予習する気もないダメ人間(オレとか)のために、1分ぐらいくれ。

ラカの裏切りの発覚をあんなナレーション(『スラムドッグ』でおなじみ・・・、か? インドの大スターアミターブ・バッチャン)で片付けるなんて・・・、有り得ない。ラカは「ドラゴンボール」で言うところのベジータ、「スラムダンク」で言うところの流川、つまり主人公の「好敵手」兼「相棒」に成り得たし、そうすべきだった。あんな処理では、いくら直後(と言っても映画の中では次の日だが)にファインプレーしたところで、ちょっとしか燃えんわ。ラカのキャラクターは、もっともっと丁寧に育てて、きちんと「開花」させてほしかった。

***微妙なところ***

ゴゥリとゴーリー、名前がカブリ過ぎ。

エリザベスまでミュージカルに引きずり込んだこと。ゴゥリと比べてクセの少ない歌声だが、違う言い方をすれば面白味に欠ける歌声。歌詞も"I'm in love."ばっかりでつまらん。しかも「踊り」(というか「動き」)に関して言えば、布を持って走り回るだけ。「対比」という意味ではまあまあだが、「勝負」という意味ではゴゥリの圧勝ではないか。ただ、間奏部分のイメージ(変わり身の術?)は良い。まるでミニチュアのように撮られた「家」の可愛らしさ。そして、その「帰れない家」の非現実感が叶わぬ恋であることを示唆し、切ない。

エリザベス、言葉覚えるの早っ。

「一本の指では折れるけど、五本なら拳になる」(毛利元就の「三本の矢」みたいだな)って歌うシーンの振り付けとかカメラワークが、青春一直線過ぎて恥ずかしい。ただ、この映画で最も笑えるところでもあるので「悪いところ」扱いにはしないが。

試合のダラダラ感がハンパない。そもそも、「クリケット」というスポーツ自体がそういうものなのかもしれない。2時間できっちり終わる普通の映画に慣れているとちょっとキツいテンポではあるが、スポーツ観戦の「疑似体験(疑似観戦?)」という意味では、ハイライトだけではなく地味なところも見せてしまう、このダラダラ感は正しいとも言える。そして基本ダラダラしているからこそ、スタミナが切れてしまったイサルの「謝罪」や、イスマイルの代走の少年の「見切り発車失敗」が活きてくるのかも。

ゴゥリの「子供がなかった人にグランが予言したら、坊やが生まれた」っていうセリフ、最初聞いた時は「ふ〜ん」ぐらいの印象だったのだが、やっと意味が分かった(気がする)。セリフ中の「予言」のところを「中出し」という言葉に変えれば、全ての謎が解ける(?)。「占いと称して・・・」ってヤツだ。下品な推測だがあのオッサンならヤリかねんな・・・、試合でもひとりだけムチャクチャやってたし。

***空耳アワー***

前述した「判官びいきでノーボール疑惑」の直前に、カチュラが場外まで飛ばせず「やっぱりダメだったか・・・」とみんなが落胆していた時に、完全に「日本語」で落胆を表現した男がいた。「ダメ、ダッタ〜」(by ブラ)

***まとめ***

★5にしようとすると、前述した「ラカの件」の怠慢が脳裏をよぎる。

★4以下にしようとすると、数々の美点が脳裏をよぎる。

う〜ん・・・、★5にしとくか。なんだかんだで「やっぱ好きやねん」ってやつだな。違うか。疲れた。

(評価:★5)

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