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[コメント] バーダー・マインホフ 理想の果てに(2008/独=仏=チェコ)

本作を疑似ドキュメンタリーと考えるなら見応えあり。ただ、映画として考えると、結構きついところもあります。勉強にはなりますけどね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ドイツ赤軍の名前は結構前から知ってはいた。とは言え、実際にどんな事件を起こした?と言われると、全然分からなかったこともあって、半分勉強のつもりで拝見。

 実際、本作は大変勉強にはなった。こう言う経路で組織が作られ、どのような事件が起こされたか。映画観た後ネットで色々調べてみたら、なるほど色々納得いった。近頃頭空っぽにして観る映画ばかり観ていたこともあって、ガツンとくる作品を観た気分にさせられたし、映画を観た後だと、調べ物をしていても色々つながってくるから楽しい。

 ただ、本作を映画として考えたら、いくつもの問題がある。

 まず、根本的に映画として物語が成立してない。バーダーとマインホフという二人の主人公が物語の中心のはずだが、その行動しか追ってないので、何を考え、どこに着地点があるのか全然分からなかったし、特に後半になると、一体どこで終わるのか見えなくなってしまう。

 それに、映画単体では何故そんな事件を起こしたかが分からないのが痛い。わたし自身ネットで調べて初めて「これはこんな意味が?」と分かったことばかり。武装闘争とは言え、その前提として思想があるのだから、その部分をもう少し掘り下げてくれないと物語として理解しにくい。

 強いて言えばこの脚本はテレビ向きで、映画の文脈では語る事は出来ない。

 実録ものなんてそんなものだ。と言われればそれまでかもしれないけど、実録で作るんだったら、余計に物語に気を遣って欲しいものだ。

 その辺を解消するためには、この二人の行動に共感を覚える主人公をもう一人作り、その人物に二人の行動の意味づけを語らせていれば、かなり分かりやすくなっていたのではないかな?少なくとも、作り手が盛り上がる部分をコントロールできるから、映画としてはきっちり成立するはず。余計フィクションが入り込むから、リアルからは更に離れてしまうけど。

(評価:★3)

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