[コメント] イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1985/米)
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監督デビューとなる『サンダーボルト』(1974)も出来自体は良かったし、本作もかなり見栄えがする。
多分チミノ監督は考えが複雑すぎるのだろう。一つの物語を考えても、純粋に正義と悪の戦いには持っていきたくなく、お互いの主張では、どちらも正義であり、信念を持って行動している同士がぶつかり合っていく。これは脚本で参加した『ダーティハリー2』(1973)でも表されていたが、本作はそれを更に突き詰め、二人の正義漢同士の戦いに持っていった。ローン演じるタイも、ローク演じるホワイトも、どちらもNYに一種の秩序を求めて行動する。ただし、それは中国人主導なのか、中国人を排除して行うのか。という違いがあり、しかもその秩序のためには、邪魔なものはお互いに排除しようとする…これじゃ到底お互いに理解し合う事はないし、周り中にも酷い被害を与えていく。実際本作では二人の主人公がどちらも正義であり、どちらも悪人であるとしているのが特徴。
ただ、それをアクション作品に留めている内は、その複雑さが良いスパイスになるのだが、物語自体を複雑にしようとすると、何が何だか訳が分からなくなってしまう。本作は監督の凝り性もほどほどであれば良い具合に働くという好例であろう。
物語を敷衍して観ると決してそんな事はないのだが、公開当時監督は中国人差別のレッテルを貼られてしまったそうだ。ロークのみを主人公にして中心にしてだけ観るとそう見えてしまうのも無理はないか。
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