[コメント] アイアン・ホース(1924/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
アメリカの発展の象徴、大陸を横断する“鉄の馬”すなわち鉄道が出来るまでの物語。 映画はこれまでいくつかの大きな進化といくつもの小さな進化を重ねてここまで来た。現時点まで進化した映画を観ていて、敢えてわざわざ古い映画を観るのは何か意味があるのか?
あると思う。
一つには歴史的な確認として。映画がどういう過程を経て進化していったかを確認するのも大切。そしてもう一つ。現在当たり前のように使われ、何気なく見過ごしがちな映像がどれだけ意味を持っていたのかと言うことを確認するため。特に後者は映画を観ていく課程で大切な目というものを培ってくれるはずだ。
それで改めて古い時代の作品を見ていると、本当に色々勉強になる。特にサイレントの場合、言葉をどう伝えていくか。時間の経過をどのように表すかなど、色々と試みられているのがよく分かる。この蓄積があってこそ、今の映画がある。
この時代に作られた作品だから、当然サイレントでモノクロの作品なのだが、本作の面白いところはフィルターをかけることによって、昼と夜の対比を付けているところ。昼は黄色っぽいフィルターで、そして夜は青いフィルターで。その辺の演出が面白いし、メリハリをつけてもいる。
又、サイレントの特徴でオーバーワークな演技だが、それがパワフルさと言うものをよく表していた。実際こういった困難な事業は、悲惨さよりもむしろ困難に負けず突き進む姿勢を強調した方が見栄えがはるかに増すから。
辛い仕事を成し遂げる時、それを支えるパワーは希望と笑い。目的に向かって突き進む姿が希望となり、歌を歌い、酒場で騒ぐのが笑いとなる。そしてその中から生まれる恋もある。全部ひっくるめて本作のパワフルさが演出されるのだろう。サイレントだからこそ、余計なものを入れず、突き進める事が出来た作品だとも言える。
本作はジョン=フォード監督の出世作であり、これによってフォードは一流監督と言われるようになる。
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