[コメント] アサルトガールズ(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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かつての押井臭は完全に抜け、吠えることを放棄してしまった作品で、三人の女優を徹底的に凝ったアングルで映すことに特化した作品になってしまっている。物語性も低く、映画的快感を得るにはかなり困難を覚える作品だ。
強いて良い部分を言えるなら、それぞれ三人の女優が凛々しく撮影できたと言うことくらい。それで良いと言えば良いのだろうけど、これで普通の映画館の入場料取るにはかなりきつくない?女優それぞれが銃器に慣れてないのもばればれだし。
一方、文句の方はかなり言えてしまう。
そもそも本作は『Avalon』の続編的位置づけにあるのだが、『Avalon』の目指していた事って、仮想空間に現実を持ち込む事だったはず。アッシュが最後に迷い込んだリアルな空間は、それまでの空疎なリアルワールドや、ポリゴンで彩られたゲームの世界から切り離され、現実以上のリアルな空間を作っていた。物語上名前以外は出てこないが、九姉妹と呼ばれるゲームマスターが目指していたのは現実を越えたリアリティにあったんじゃないのか?その部分を匂わせるなり、無理矢理整合性を持たせるくらいのケレン味はあっても良かっただろう。それくらいの時間は充分にとれたはず。過去に作り、しかも話半ばで終わってしまったのだから、どういう形であれその決着を付けるべきだっただろう。
更に出てくるモンスターと言うのがリアリティとはほど遠い、CG丸だしってのも気分削がれる。今時普通のゲームでもこれよりは生物感出てるよ。
一言もしゃべらず、しかも他のキャラとは異なり”魔法”を使う菊地凛子演じるルシファーも、する気になればいくらでも設定突っ込めたのに、それすらしない。 せいぜいリアルと言えば、ゲーム内であるに関わらず、何故か食うシーンがあることくらいだが、今の押井に考えられるリアルってのがそれだけじゃあんまりにも寂しい。
私自身、ここまで悪くは言いたくないのだが、冷静に観たらこうなってしまうだろう。
そうそう。一応劇中出てきたベーコンエッグを食パンと共に食べるシーンは妙に美味そうに見えたので(ツレは「気持ち悪い」と明確に言っていたが)、自分でも作ってみたが、確かに美味かった。私にとって本作から得た成果って言うのはそのくらいかな?
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