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[コメント] 人間失格(2009/日)

この映画をきっかけにして太宰治を知ったのだから有難く思うけど
きわ

おもしろくはなかった。ぺペロンチーノさんもおっしゃるように、本当に太宰が好きなら映像化はしないだろうと思う。だからこうなってもしょうがない。だけど、アイドル俳優の生田斗真君が不思議なほど太宰のキャラクターと融合していたのは観ていて気持ちがよかった。そしてこの手の映画に出ないでどの映画に出るんだという寺島しのぶの垢くさい色気もマッチしてるし(←失礼)、ずうずうしい悪友は伊勢谷友介というところもまあまあ(「とんだそら豆だ。」という超人的な台詞は誰にでも言えるものではない)。妻役の石原さとみとか、何がどう転んでキャスティングされたのか不明な森田剛もよかった。わりとみんないい当たりをしている。しかし負けた。そんな試合のような映画。だからあんまりすっきりしない。それは話が悪いのでもキャストが悪いのでも美術が悪いのでもなく、「太宰治」の世界を租借していない監督が悪いのだと思う。くり返しになるけど、もし本当に太宰を好きなら映画化はしないであろう。特にこの「人間失格」においては。太宰の文学は、個人それぞれの「負」を映す鏡のような闇。あるいは光。それにシンクロした時の感情(私の場合は解放感)は人それぞれだろうから。でもこの映画のおかげで太宰と出会えた。他にもそんな人がいたらいいなと思う。(10/10/30 DVD)

(評価:★3)

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