[コメント] 白い崖(1960/日)
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「美人は三日で飽きる」というが、本作の有馬稲子について「美人は十分で飽きる」を捧げたい。
この作品の有馬稲子、登場時は確かにハッと息を呑む美しさなんだけど、だんだんと見飽きてくる。ロビーでの初登場シーンから一度退席し、木村功の部屋に土産物を持ってくるシーンで既に魅力半減。なんだか凄いものを発見した感じになった。
さて、本作は卑屈な青年を演らせたら右に出る者がない木村功が、まさに卑屈な人物を思う存分演じるわけで、その面目たるや躍如としている。水上スキーがことのほか上手く、さらに女の悦ばせ方も心得ている様がいかんなく表現されていて、この上なく嫌らしい人物像を巧みに表現している。
対する女性陣、有馬稲子は十分で飽きるとして、佐久間良子の存在感は別格だ。決して似合ってるとはいえないホットパンツ姿も、お手入れしなさいよと思わず言いたくなる腕毛の濃さも、全く打ち消すくらいの存在感。木村功の出自を貶める場面など、その表情も含めほぼ完璧な演技。中原ひとみは相変わらずの可愛らしさだが、清潔感だたようあの顔に不釣り合いなほどの情の深さと鬱陶しさを演じきっているところが素晴らしい。藤間紫は何と言っても奥歯の銀歯でしょう。銀歯一つであの女のすべてを物語っています。
今井正は『越後つついし親不知』でもそうなのだが、佐久間良子に執拗なまでの死体演技をさせる。本作でもあんまりといえばあんまりな扱いをされるわけで、なんか個人的な趣味でもあるのかしらと思わず疑いたくなるほど。
ストーリーは進藤英太郎扮する社長が死んでからが俄然面白く、佐久間良子退場後はサスペンスとしてなかなかの高まりを見せる。しかし、進藤英太郎が死ぬまでが長いんだよ、これが。「今井正は長い」って覚悟してたとはいえ、やっぱり長かったかな。
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