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[コメント] パリ20区、僕たちのクラス(2008/仏)

俺がこのクラスの担任だったら間違いなくFワード連発だ。こんなリトルモンスターたちと毎日向き合ってるんだとしたら、教師という職業につく方々に改めて敬意を表さずにはいられない。
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脚本・橋田壽賀子かよってくらい、まあみんな、ああ言えばこう言う上佑で五月蠅くてかなわない。パリ20区のあるクラスの1年間(しかもそのほとんどが国語の授業)をモキュメンタリーとして実在感たっぷりに描いた本作。28歳になった自分が観ていると、劇中のガキどものあまりの喧しさけたたましさに本気でやつらの頭を叩いてやりたくなる。

教師と生徒。一見相対する立場にいるそれぞれが、互いに悩み成長していく姿は、生徒に同情的すぎるメロドラマや、教師をヒロイックに語りすぎる熱血物語と一線を画し、かつて誰もが経験したことのある「教室」という名の「飼育小屋」の喧騒を思い出させる。あの頃、小さなことひとつひとつに怒りを覚え、反抗していた子供たちがいつか、それをなだめすかし、補正する立場AKA大人になっていく。

劇中で一人の女子生徒が「アンネの日記」を読みながら「アンネと違って、私たちの人生について語っても面白くありません」と発言する。小生はもちろんだが、大半の方々が思わずうなずいてしまう文句であろう。そうだ、俺たちの人生なんて何にも起きない。毎週サザエさんみるたびに、「あれ?もう1週間たったっけ?」みたいな自問自答をもう彼是20年近く続けているよ、俺は。

でもね、その気になってみれば…それこそ本作で示されているように、一つ一つの出来ごと、何気ない会話の節々に、案外哲学的な問いかけがみちていて、ドラマチックな瞬間なんかもあったりするんだよ。

何気ないことが何よりも愛しくて。だから人間やめずにまた今日も生きていけます。

(評価:★4)

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