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[コメント] ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)

良質の作品とは思うけど、私の資質のせいで駄目。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 素直な感想を言うと、この作品、私には合わなかった。としか言えない。

 実際に質的にはとても高い作品だとは私も思う。作りは丁寧だし、微妙な人間的なすれ違いを経ながら「好き」という感情を醸成していく作り方も巧い。舞台が北欧。しかも冬なので、とても寒い感じがするのも良し。

 だけど、私の好みだけで限定するならば、根本的な問題があった。

 私は耽美的な作品って苦手だったんだ。ついその辺忘れてた。

 観始めた瞬間から、「これはまずい」とは思いつつ、結局没頭出来ぬまま終わってしまった。最初から最後まで居心地の悪い思いのまま終わってしまった感じ。

 しかし、そうなると色々アラも見えてきてしまう。

 例えば吸血鬼には人間の血液が必要だってのは分かるんだけど、その血液集めの方法が杜撰すぎ。人通りのあるところで殺した人間の血を抜くとか、死んだ人間をそのまま適当に放置してしまうとか…生き抜くための知恵があまりにも低すぎないかな?よくここまで生きてこられたと思うし、ここまでやってしまったらそもそも吸血鬼であることがばれない訳がないよな。

 吸血鬼が生き抜くために苦労してる知恵をもう少し丁寧に描いてくれていれば、そこを見所に出来たと思うんだけど。

 終わり方もやや好みとは言えず。

 あれはエリが去ったところで終わらせば良かったんだけど、その後がねえ。愛を貫き通すことが、人としての人生を捨てることとなってしまうってのは、寂しすぎる。

 エリが設定上200歳と言う事であれば、最初にエリと共に旅をしてきた老人は、オスカーと全く同じようにしてエリを愛した少年だったのかも知れない。つまり、オスカーの未来は殺人鬼として裏街道を生き、最後はエリに自分を与えて死ぬしか道が残ってない。

 確かにこの終わり方は印象には残る。だけどすごく後味が悪い。

 同じく少年少女が愛を貫き通し、旅に出る『小さな愛のメロディ』の健康的な終わり方とつい較べてしまうと、明らかに病んだ終わり方で、やっぱり本作は徹頭徹尾耽美的に仕上げられてる事を印象づけられる。 

(評価:★3)

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