[コメント] [リミット](2010/スペイン)
オナニー・シチュエーション・スリラー。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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90分。箱の中からいっぺんもカメラは外にでない。イラクのどこかの砂漠地帯。棺おけに入れられて生き埋めにされている男。箱の中にあるのはライターと携帯電話。果たして彼は無事脱出することができるのか!
…確かに、これだけ聞くと、いかにも面白そうである。シチュエーションの「設定」とストーリーテリングにおける「縛り」についてはお見事。
ただし!見事にそれだけの映画である。
端的にいえば、『ソウ』と『フォーン・ブース』を足して2で割って(その上で3を引いたような)シチュエーション・スリラーなんだが、この系譜の作品に絶対に欠かせない「この状況じゃあこうせざるを得ないよな!」感がまったく、ない。
携帯電話で話している相手が口にする人物の名前(これがラストのオチに繋がるわけだが)をわざわざこれ見よがしに箱の天井に書いたり、何故か突然蛇がでてきてそれを箱の中に火をつけておっぱらったり(そんなことしたら自分まで丸こげだろ)、犯人に強要されて自分の指を切り落とす映像を携帯で撮影したり…いちいち全てにおいてストーリーの展開と主人公の行動に必然性がないのである。
その結果、緊張感のかけらもなく、故に、主人公に一片の同情も寄せることができない。ハラハラもしないし、ドキドキもしない。そんなシチュエーション・スリラーに、価値はない!
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