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[コメント] 黒く濁る村(2010/韓国)

佳作ミステリ。横溝や松本の世界とは明らかに違うし、野村芳太郎ともまた違うけど比較されるのは宣伝上仕方がないのか。人間の業をくどくど描きすぎず、故に「真相」がわかりにくいきらいはあるけれど、それでよかったのだろう。
SUM

ウェブコミックが原作で、日本ではノベライズのみで原作は多分邦訳出版されていない。

原作はこれか? http://cartoon.media.daum.net/series/list/ikki

まぁ、あれだ、「村」の世界の恐ろしさを映像で、という点で言えば、野村映画には勝ち目はまるでなく、いまどきの娯楽映画の路線で撮っている印象はある(いや美術やセット、メイク等、力は入れているので軽いというわけでもないが)。監督はカン・ウソク。1990年代からの彼を見れば、いや見なくても、映画監督のデビュー年代から言えば韓国映画界ではニューウェーブより前の世代に入るし、実際そんなスタイリッシュに流行を追うような演出はしてきていない。1980年代以後の韓国映画流のばたくささを継承している作家だ。しかしなお、ほどほどに時代を追いかけて映画は撮っている。演出面では、大衆の方を向いているということだろうか。

ストーリーも、見終えてわかる部分だけで言えば、見ている最中でもさほどわかりにくいというわけもなく、案外とんとん拍子に進んでいく(それでも160分程度の長軸映画を長ったらしく感じさせないストーリーテリングではあるけれど)。しかし、なお、主人公と検事の関係やら父親と子の事件以前の関係等はまったく描かれない(前者は原作には描写があるようだ)。そして村人の行動の動機も・・・映画で説明されただけで全部納得いくだろうか。これを「つじつまが合わない」と思ってしまったらたぶん興ざめだろう。そこは鑑賞者側の立場にもよるだろう。説明過多にならなかったという方で、少なくとも映画を見終えた段階では私はそう思ったのだからそれで成功と認めたい。

韓国の資料は163分、日本の資料は161分。自分で劇場で時計を見た限り163分程度。まぁ映写機走行スピード誤差やロール切り替えタイミング等の問題があるので細かい時間数は多少あてにならない部分はあるのだが。

(評価:★4)

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