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[コメント] 映画けいおん!(2011/日)

永遠のモラトリアムか、卒業か
SUM

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大前提として、既存のTV作品を見た人を対象に作っている。TVで抑えていたタガから外れているぎりぎり感が作品の肝の一つですらあるので、何が良さなのかはこの映画単体では無理なんじゃないでしょうか。

登場人物の「卒業」旅行、高校生で卒業旅行が海外かよってまぁふざけんな状態ですが、キャラクターの今までの積み重ねがなかったら、百合にひっかけたギャグシーンも、後輩が天使ってのも、ここにきてあえてTVで避けていた「両親」の存在とかの大きさも伝わらないという非常に映画のみのファンを無視した作りになっています。

しかし、山田-吉田ラインの息はぴったり。吉田玲子ってまぁTV/映画ともに今までの作品履歴を見ると映画ファンからみて「名脚本家」と呼ぶにはどうもという作品もまじっていて、あんまりオリジナル脚本に無条件に期待したい感じはないんですが、乗ってるときは水準以上の作品作るし、どっちかっていうと職人肌な脚本家な気はするんですが、それでも、友情と卒業を2時間に納めて、見事でした。コンテから絵の動きは結構いいセンスしてたと。

原作は一度は卒業で終わっておきながら映画より前に大学生編って続いていて、この作品を見ると、もう、続いちゃいやだって気分にはなりますよね。

まぁ、基本的にはファン向けの映画ではあるけれど、ヒットしたのはだてじゃない。 日本のアニメ映画の現在という意味では、興行的には、上の層をジブリ系が占め、次のポジションを子供向けのTV/グッズタイアップ系の各種作品(ドラえもんやポケモン)が占め、それを除いた中では上位に細田作品とかが来ているんですが、その次を狙うポジションをひとまず確保していて、この路線で二匹目のドジョウがいるかどうかわからんですが、こういういわば小品な少女物語が、アニメの枠に限らず日本映画界でつくられることは、喜びたいと思うのです。まぁ、みんなが絶賛するような映画ではないと思いますけどね。まぁ元々のファンじゃない人も含めてみた人の感想が、シネスケ的に平均点3.0を超えたら…それで十分じゃないんでしょうか。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)甘崎庵[*]

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