コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 映画ドラえもん のび太と奇跡の島 アニマルアドベンチャー(2012/日)

今までの「ドラえもん」の劇場版ではまず無かった、近しいようであまりメインで描かれなかった、のび太の父親を過去の少年期とはいえ、話の中心人物として据えた映画を作ったことには感心してしまう。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







新シリーズになってから7作目となる「ドラえもん」劇場版。

今回は、のび太が惨敗した虫相撲で巻き返そうとドラえもんの力で300年前のニュージーランドから強大なカブトムシを捕獲しようとして誤って絶滅種の動物を捕獲してしまい、保護のために移送した奇跡の島(ベレーガモンド島)で、伝説のカブトムシであるゴールデンヘラクレスを捕獲しようとする密猟者集団と戦う展開。

今回は1本の映画に出来そうなぐらいのポジションのキャラクターや伏線を沢山用意してしまったために、ゴールデンヘラクレスの捕獲しようとする密猟者たちと戦う展開で、のび太達以外のゲストキャラが誰をメインにしたいのかがはっきりせず、どっちつかずに終わってしまっている。

今回の奇跡の島を舞台にした密猟者集団との戦いというストーリー展開からすると、島の原住民ロッコロ族のコロンや奇跡の島の責任者であるケリー博士あたりをメインにするのが妥当なのだが、序盤のケリー博士の助手のゴンスケが手違いで過去の野比家からのび助(ダッケ)を奇跡の島に連れて来てしまう展開からは、今回はのび助が話の中心人物になるのかと思いきや、後半は特に活躍するわけでもなく、それまでほとんど蚊帳の外に置かれていた、のび太が現代でのび助に買ってもらったカブトムシのカブ太がゴールデンヘラクレスのおかげで覚醒して知性を持ち、さらにビッグライトで強大化して密猟者のシャーマン一味と戦うという展開になってしまう。

正直、クライマックスの万事休すの展開からのどんでん返しのための展開だとしても、それまでのカブ太の存在感がなさすぎ。せめて後半の展開のためにもっとのび太がカブ太を思いやるぐらいのシーンが欲しかったところ。

のび助にしても、せっかく今までに無かった、野比家が親子が冒険するという面白そうな展開だっただけに、のび助が最後まで記憶が戻らないでシャーマン一味を倒してしまうという展開は捻りが無さすぎな気がする。せめて、途中でのび太がダッケを父親であるのび助だと悟るシーンぐらいは期待したかったところ。

奇跡の島サイドのキャラクターは、正直、今回は重要そうなポジションのキャラのはずなのに、あまり話の中心に入ってこないので、キャラの個性が弱いまま終わってしまっている。せめてコロンだけでも、たださらわれるキャラで終わらせずに、もっとストーリーの重要なポジションに置いてもよかった気がする。

しかし、今までの「ドラえもん」の劇場版ではまず無かった、近しいようであまりメインで描かれなかった、のび太の父親を過去の少年期とはいえ、話の中心人物として据えた映画を作ったことには感心してしまう。できれば「新・ドラえもん」シリーズは今後も、あまり映画では中心にならないレギュラーキャラをメインキャラに取り上げて映画を作って欲しいと思う。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ガリガリ博士[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。