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[コメント] ロンゲスト・ヤード(1974/米)

こういう、汗っ臭い作品作らせたらアルドリッチ監督は名人です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 スポーツ映画の傑作と名高い作品で、アクの強い男臭い俳優を組み合わせ、反発しながらも徐々に仲間意識を持っていく過程は『特攻大作戦』(1967)と通じるアルドリッチ監督らしい仕上げ具合だった。

 本作公開の1974年と言えば、ハリウッドをニューシネマが席巻していた時代。そんな時代に真っ向からぶつけるかのように、ストレートな根性ものを、しかも色気も全く無しで作り上げたという、その豪毅さが気に入った。ちゃんとラストも感動にまで持っていく丁寧な演出も光る。

 本作の特徴として色気がないだけに、キャラの作り方は実に良く、殴り合い、貶し合い、ぶつかり合いつつ、本当のチームワークを作るまでの過程が小気味よく、そしてそこから圧力がかかってストレスを溜めておいて、最後に爆発的な試合内容を見せてくれる。作り方はスポーツものの教科書にしても良いくらい。

 そしてその中をアクの強いキャラが縦横無尽に駆けめぐる。こう言うのが好きな人間にはたまらない内容。

 何よりレイノルズが良い。このキャラ、当時は苛立ち続ける役が多いが、本作でもそれは健在。前半部分はイライラしっぱなしだったのが、中盤で仲間意識が芽生えてからは俄然魅力が増す。実は大学時代本当にアメフト選手だったというレイノルズが、本当に活き活きしてくる。そしてラストシーン。あの緊張感たっぷりな演出の後、振り返った時の清々しい笑顔がえも言えない魅力を発揮してる。そもそも私にとっても当時のレイノルズは大ファンだけに、ここまで魅力を引き出してくれると、それだけでも嬉しい。

 集団スポーツ映画の原点とも言える作品なので、そう言うのが好きな人には自信を持ってお薦め出来る作品だし、アルドリッチファンには安心して観られる作品とも言っておこう。

(評価:★4)

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