[コメント] かぐや姫の物語(2013/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
”今という瞬間(時代)はもうない だからこそ、今できること、やりたいことを一生懸命やっておけ”
「かぐや姫の物語」は8年の歳月をかけ、50億円を投じたという。 こんな計算は下品だが、製作費は映画1分あたり3650万円という計算になる。
アニメーションの技術には詳しくないのだが、この映画の製作は、アニメータのラフ画のタッチそのままをアニメーションとして成立させていく。というもので、これが技術的にはとんでもない事なのだという。 ラフ画で描かれる1本1本の髪の毛のような細かい線も、連続するセル画の中で動きを持たされる。 それはそれは緻密な作業の連続であったという。
もう、二度とこんな事はできないだろう?
『かぐや姫の物語』の中で歌われるわらべ唄がある。
まわれ まわれ まわれよ 水車まわれ
まわって お日さん 呼んでこい
まわって お日さん 呼んでこい
鳥 虫 けもの 草 木 花
春 夏 秋 冬 連れてこい
春 夏 秋 冬 連れてこい
このわらべ唄を聞いたかぐや姫が 記憶の奥底からよみがえらせた唄がある。 かぐや姫は、なぜ自分がこの唄を知っているのかわからない。 でも、涙が止まらない。
まわれ めぐれ めぐれよ 遥かな時よ
めぐって 心を 呼びかえせ
めぐって 心を 呼びかえせ
鳥 虫 けもの 草 木 花
人の情けを はぐくみて
まつとしきかば 今かへりこむ
高畑勲が書いたといわれるこのわらべ唄にの御大のメッセージは込められている。
『風立ちぬ』でも小倉百人一首に収録された崇徳院の和歌がエピソードとして使われているのだが、『かぐや姫の物語』でも使われている。
わらべ唄の最後、 “ まつとしきかば 今かへりこむ ”
とは、小倉百人一首 中納言行平の歌の下の句だ。
「あなたが待っていると聞いたなら、今すぐにでも帰ってきましょう」
あとを継ぐ若者たちへ、御大からの挑発のようなエールだ。
膨大な時間と金と体力を注ぎ込んだ作品。お前たちには作ることができるのかい? もし作れないのなら、俺はいつでも帰ってくるよ。でもそんな恥ずかしいことはしないでくれよな。
両御大からのメッセージ
ジブリ・コード。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。