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[コメント] 土竜の唄 潜入捜査官REIJI(2014/日)

物語とか設定とか相当に酷いんだけど、ノリとキャラだけで充分以上に楽しい作品を作る事が出来る。ある種監督の底力を感じさせる作品だった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 現代では珍しい「職人監督」と呼ばれる三池監督は、本当になんでも何でも引き受けてしまって「節操ない」と呼ばれる事もあるが、その中でも得意分野ってのがあるもので、監督にとってそれは、暴力映画であったり、ホラー作品であったり、あるいは漫画原作であったりするのだが、それは即ち漫画原作で暴力描写の強いものこそが監督の最大の得意分野と言う事になる。その好例が『殺し屋1』であったり、『ゼブラーマン』であったりするわけだが、結局これらは細部の設定無視。ノリで突っ走ってしまうことが真骨頂となる。正直、監督には丁寧にじっくり良作を作るよりも、早撮りで多作という、本当に昔の職人監督の体質が合ってるみたい。

 それが端的に表れたのが本作だとも言えよう。原作を読んでないために、原作漫画がどれだけ細かく暴力団の世界を描いているのかは分からないのだが、しきたりとか細かい上下関係とかはこの際物語のスパイスだけにして、あとはノリで突っ走った感じになった。

 だが本作に関してはそれがうまくはまったし、何よりキャラが見事なほどにはまりまくってる。

 生田斗真がこんなノリの良い役やれるとは思ってなかったが、元々端正な顔(ちょっと異相だが)の歪み具合がなかなか絶妙だし、何より脇を固めるヴェテラン勢がきっちり仕事してる。堤真一なんかはこの役との相性が良すぎるぐらいで、未だにテレビに出てるとやくざもののイメージが抜けない(これは同時期に『地獄でなぜ悪い』(2013)を観ていたお陰ってのもあるんだが)。

 あと、多分ヤクザ映画好きは絶対に認めないと思うんだが、義理人情の世界を描く前半よりも後半のぶっ飛んだノリはもの凄く心地良い。かつて『クローズZERO』で培った集団戦闘シーンにアメコミ風演出を取り入れることで、一種異様な場面を構築していた。もはやこれ、暴力って寄りも特撮作品だろ。とゲラゲラ笑いながら見ることが出来たし、それがこの作品の真骨頂だろう。

  私はこれ、完全肯定。

(評価:★3)

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