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[コメント] がんばれ!ベアーズ 大旋風(1978/米)

プロレスファンの怒りももっともだが、若山富三郎をこんな役に使ったらタランティーノが怒る。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の見所とは、フリーダムで無茶苦茶なベアーズの面々の姿を楽しむためにある。

 最早野球なんてどうでも良く、ずれた日本描写と、アントニオ猪木と若山富三郎(ちなみに猪木はモハメッド・アリと戦ったと言う事で、そして若山富三郎はグラインドハウスで『子連れ狼』シリーズが静かな人気を呼んでいたこともあって、アメリカでもそこそこ知名度があった)、萩本欽一相手に無茶苦茶やってるだけの作品になってしまった。内容的には『悪魔の毒々モンスター東京へ行く』(1988)とほぼ同じ。特に日本人からすると、観てるだけで体がむず痒くなってくるような出来でもあった。そもそも野球が全く関係ないし、一応主人公であるはずのケリーが単なる軽い兄ちゃんでしかなくなり、魅力が全く無くなってしまっており、人物描写が酷すぎる。

 物語に関して言えば壊滅的だし、日本に対して失礼極まりない内容でもあるのだが、少なくとも前作『がんばれ!ベアーズ特訓中』と較べたら、突き抜けたドタバタコメディに徹底した分好感度が高い。開き直りを楽しめればそれで良い。

 それと、私が本作が嫌いになれない理由として、若山富三郎の語りがある。

 若山富三郎の役どころはリトルリーグの監督なのだが、ラスト近くになってカーティス演じるマーヴィンと話している時、ほとんどインタビューのような状態になって、苦労話をぽつりぽつりと喋るのだが、それが妙に身に迫っており、芸能界における自分の位置づけについて、「これって本音なんじゃないか?」と思わせる発言もあったりしてなかなか興味深い。本作観たのが吹き替えだったので、トニー・カーティスが広川太一郎の声でまぜっかえすように「子連れ狼じゃないんだから」と愚痴っぽく言ってる所も自虐的で、観ていて楽しい。

(評価:★2)

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