[コメント] 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2015/日)
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諫山創によるコミック「進撃の巨人」は、そのハードな物語展開と、複合的に絡み合う謎が巧く噛み合ったものとなり、大変な人気を呼んだ。現在も連載中だが、スピンオフの漫画や小説も数多く出たし、テレビアニメや、そのアニメを再編集した劇場用アニメも既に公開。
そんな中、ついに。と言った感じで、実写映画化と相成った。
本作を単体の作品として観てる人はあまりいないだろう。本作は来年公開される東宝版『ゴジラ』復活作のプロローグとして、そして日本における特撮の新しい一歩として位置づけている人がほとんど。言い過ぎかも知れないが、本作はこれからの邦画の行く末を占うほどの大事な立ち位置にある作品と言える。
それだけに、本作の力の入れようは公開前から伝わってきたし、これまでいくつもの作品を監督するも、全て微妙な出来に終わった樋口真嗣監督の本気作として、非常に期待が大きかった作品でもあった。
思えば樋口監督は、かつていわゆる平成ガメラシリーズで「日本の特撮はここまでやれるんだ!」と、怪獣ファンの心を沸かせてくれ、以降特撮ファンからは、「お願いだから樋口監督に自由に撮らせてくれ」と心からの叫びがあげられていた。
そして、そんな樋口監督が思いのままに作ってくれた作品として、本作は諸手を挙げてファンに迎え入れられる…
…はず。だった。
いや、私としてはあまり悪く言いたくはない。少なくとも演出に関しては決して悪いとは言えないし、飽きさせない工夫はちゃんとあったので、2時間の時間を楽しんで用いることは出来た。
だけど、その「楽しみ方」が、ちょっと普通の映画とは違ってはいた。
作ってる側は大まじめで、パニック映画を作ろうとしてるのだろうが、観てる側としては、この作品、怖さってのが全く見えてこない。
「どうです怖いでしょう。気持ち悪いでしょう」と出されてくる巨人の捕食シーンもリアリティに欠ける(出来るだけ乾いた描写にしようと努力してるので、それは正しいのかも知れないけど)。これを言ってしまうと多分駄目なんだろうけど、これだったら『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966)のガイラの捕食シーンの方が何倍も怖かった。
あと、とてもシリアスなはずの人間ドラマが見事なほどに全部外し、一々ツッコミ入れるのも馬鹿馬鹿しいほどで、ほぼ完璧なコメディと化している。
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