[コメント] パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(2013/独)
少々小粒感は否めないものの、じっくり観させるタイプの映画で、満足度は高い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作は、一応パガニーニの半生を描いた作品にはなっているが、その大部分はイギリスでの活動が描かれている。ここで何が起こり、それが後年のパガニーニにどんな影響を与えたのかという部分に特化した作品となっていて、広く浅くというよりは、短い時間を集中して描くことをメインとしている。そのため伝記映画にしては結構小粒な印象があるのだが、逆にこういう特化した題材を使うのは、映画としてのまとまりは高く仕上がってる感じはある。
元々パガニーニは“悪魔と契約したヴァイオリニスト”と呼ばれていたそうだが、その悪魔であるウルバーニ(当然ながら本人は否定するが)との契約から始まり、辣腕をふるうウルバーニによって栄光を手にするパガニーニ。だが、なんでも手に入るようでいて、本当に欲しいものだけが手に入らないというもどかしさ。悪魔と契約まで交わしたのに、それによってもたらされたものの虚しさという点に重点を置いたのは正解といえよう。悪魔と離れようにも、何もかも頼りきっているため、離れることの出来ないパガニーニの姿は、古き良き『ファウスト』にも重なって見える。
それと本作はなんといっても、演奏の美しさがとても良く演出されている。
人間としては最低ながら、神の如き演奏をするパガニーニ。だがそれは神ではなく、悪魔の美しさという所をきちんと押さえて演出された演奏シーン。これを劇場で観られたのは儲けものだった。
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