[コメント] ザ・プレイヤー(1992/米)
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メインストーリーは割合単純。それこそ「M★A★S★H」の時のように、無茶苦茶な人間が無茶苦茶なことをしてる内にいつの間にか上手く行ってしまった。というもの。正直本作観ていて、どこでその内この無茶苦茶さが酬いを受ける因果応報の話に持っていくのか?と思っていたら、いきなりの無理ありすぎのハッピー・エンド。一瞬呆然とした後で大爆笑した。なるほど。この作品は全編がハリウッドに対する嫌味なんだ。権力を持つものはそれこそどんなことをしても、必ず救いの手がさしのべられ、本人も知らないうちに上手く行ってしまう。主人公はそれに翻弄され、ながされっぱなしなのだが、やがてその幸運を当たり前のように受け入れるようになっていく。まさにこれこそ権力の魔力というものかもしれない。巨万の金が一人の指示で動くハリウッド・ビジネスとは、こういう世界なのだ。と紹介してるみたい。
ハリウッドは才能のある人達が山ほど集まるが、その才能を最大限に生かせる人はほんの一握り。中でも脚本家は一番割に合わないのかもしれない。それこそ「一世一代」の傑作を書いて持っていったら、それが全く顧みられないのみならず、コネやどうしようもない続編企画がするっと通ってしまうことの方が多い。仮にそれが映画になったとしても、プロデューサの意向で物語を変えられたりもする。それを完璧に毒々しく描いてる。はっきり言ってこれがアカデミー賞で大受けしたのは、選ぶ側が身につまされる出来事ばかりだったからじゃないんだろうか?
更にとにかくここに出てくるパロディや嫌味がとにかくもの凄い量。よくこんな企画が通ったものだ。と思えるほど。OPカットは『黒い罠』へのオマージュだが、『卒業』の脚本家であるバック=ヘンリーが本人役で登場して『卒業2』を売り込もうとしている姿が見えたりする(あの企画はもうちょっと聞いていたかった気がする。どれだけ馬鹿馬鹿しいものになってるんだろう?)。『自転車泥棒』を「良い作品」と言ったばかりに逆鱗に触れてしまうシーンなどもあるし、劇中劇の改変は『危険な情事』のものらしい。ハリウッド映画でここまで他の作品をパロディにしたものも珍しい。
アルトマンらしい悪意が無茶苦茶込められてる作品なのだが、これはかつてそのハリウッドによって放逐され、ハリウッドを長く離れていた監督としては、ひょっとしてこれがハリウッドに対する決別の思いがあったのかもしれない。ところが逆に本作によってアルトマンがはっきりとハリウッドに復帰出来たというのが面白いところ。
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