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[コメント] ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(2017/米)

思い入れもない、愛もない、あるのは有名俳優だけ。結果スッカスカな作品になった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 近年クロスオーバー作品が多く作られるようになってきた。有名なものはなんと言ってもマーベルのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で、単独で主演映画を作れるキャラが一堂に会して協力して戦うと言う『アベンジャーズ』(2012)のヒットは記憶に新しい。他にもDCとかX-MEN、レジェンダリーとかも自社作品の共通した世界観の作品を作っていおり、2010年代の映画の潮流と言っても良い。そこにモンスター映画の老舗であるユニヴァーサルが殴り込みをかけたのが本作となった。

 ユニヴァーサルと言えば、古くからモンスター映画を多数作っており、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物、半魚人、透明人間、ミイラ男など、多彩に渡るラインナップが魅力。その実力を見せてやると言わんばかりだ。

 第一作となった本作は力が入っている。主役にトム・クルーズを出しただけでなく、シリーズを通して関わるキャラとしてラッセル・クロウを登場させたりして、世界観を広げるべく努力しているのが分かる。

 そして本作を皮切りに、ユニヴァーサルの伝統、フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男、透明人間を次々にリリースする予定だったという。

 …ただし、それらは全て「予定」で終わってしまった。

 簡単な話。本作が思いっきりコケたからである。

 クロスオーバーという気宇壮大な開始だっただけに、こんな尻切れトンボで終わったのはとてもい残念だが、制作側が明らかに理解してなかったのが問題だ。この辺『ヴァン・ヘルシング』(2004)の時から全く変わってない。

 キャラクターや背後にいくら力を入れても、肝心の作品が全く面白くないのが致命的。  この面白く無さというのは、演出とかキャラの問題ではない。テーマとなったミイラ人間に対する全くの愛情不足である。

 ホラーやSFのリメイクで何が一番重要かと言われると、いろんな子と挙げられるだろうが、その中心に“作品に対する愛情”というのがあるはずである。事実この年、デル・トロが『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)でオスカーを得たのは、デル・トロが半魚人作品をこよなく愛していたから。それが原動力になっていたからこそ、芸術的な高みにまで上れたのだ。

 対して本作におけるミイラ人間の必然性とは何だろう?と考えると、単純に古代の遺跡から出てきたキャラというだけ。『ハムナプトラ』(1999)もそうだし、前年に作られた『X-MEN:アポカリプス』(2016)の女性版でも全く違和感なし。

 ミイラ人間を本作でしか描けない唯一無二の存在として描けていれば救いがあったが、どんな作品でも交換可能な上、一番重要なハートを失って作られてしまった。  おかげで全く魅力がなくなってしまった。

 少なくとも、私に関しては楽しめる部分が一切見つからない。 

(評価:★2)

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