[コメント] GODZILLA 怪獣惑星(2017/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
最初、『シン・ゴジラ』の便乗企画で「鉄は熱いうちに打て」か?と思ったが、なんでも最初からアニメの方は東宝内で企画が上がっていて、特撮とアニメを並行して企画が進められていたのだとのこと。特撮の方がコケなくて本当に良かった。
特撮とアニメーション、これは一般的には表現の差に過ぎない。むしろアニメの方が派手なものが作られるため、こちらの方が歓迎される向きもあろう。
ただ、この流れは古い特撮ファンからすると、ちょっと奥歯に物が挟まったような言葉になってしまう。ゴジラと言えば「特撮」とだけ言いたいのが特撮ファンの性だから。
とは言え、そんな特撮ファンも今年に関してはそれを言わずに済むだろう。理由は簡単で、昨年の『シン・ゴジラ』の出来が素晴らしかったので、気持ちが鷹揚になっているから。
あそこまでやってくれたんだから、後数本アニメで保たせて、それから又実力者に特撮版ゴジラ撮らせてくれればそれで満足。それが大方の特撮ファンの本音であろう。
…私だけかもしれんけど、多分みんな同じ気分だと思っている。
さて、そして肝心なアニメ版の出来だが、色々と意外なことがあった。大きなものとしては、本作一本では終わらないと言う事。どうやら三部作として作るらしい。
そしてこれまで現代日本を舞台にしてきたゴジラを完全SFの未来世界のものにしたこと。
最後に、少なくとも第一作目の本作はゴジラ対人間の純粋な戦いに絞ったこと。
これらは全部ゴジラファンも受け入れるだろう。「アニメはアニメで楽しめれば良い」という感覚にあらかじめなっているので、特撮版ゴジラとは別物としてこれ単独で楽しめれば構わないわけだから。
と、いういくつかの伏線が張られてピュアな(?)気持ちで観てみたわけだが…
悪くはないと思う。ただ、それ以上のものではない。
良い部分を言うなら、月並みだが演出はちゃんとしているということ。だから一応全編楽しんで観ることは出来る。
だけどそれはアニメで作る以上、最低条件とも言える。
ゴジラ対人間の戦いの演出を抜いた場合、本作に何が残るだろうか?
一つの問題点として、SFにした時点で膨大な設定を入れなければならないのだが、それが全部消化不良を起こしてるという点がある。
この話を観る限り、人類はゴジラに現用の人類の兵器で立ち向かえるほどのポテンシャルがあるにも関わらず逃げたと言う事になるし、地球を捨てずに生き延びる方法も考えずに逃げるためだけに外宇宙に逃げてる。
この場合、移動型の都市を建造してゴジラから逃げ回りつつ地上で人類が生き残るパターンが一番有効な方法になるはず。どれだけ強力と言ってもゴジラは単体。逃げつついろんなアプローチをかけながらゴジラの弱点を探り、膨大なデータを検証しつつゴジラを撃破するというのがストーリー的には最もリアリティある設定なのでは無いだろうか?
さもなければ地球を資源惑星として、衛星軌道上若しくは月に基地を確保して捲土重来を期すというのもあり。なんで自然がこれだけ残ってる地球を見捨てて当ても無い外宇宙に向かって航海に出なければならないのだ?
少なくともこの時点で説得力のある説明を付けるのは最低条件ではないだろうか。そこに説得力が全然ないのが致命的。
それを放棄して辛い航海内容ばかり出されても、冒頭時点で気持ちが冷めてしまい、それが再び熱くなることは無かった。
そしてストーリーとしても、とても安定した物語構成をしているため、大体次の展開が読めてしまう。驚かせてくれる部分がほとんどなしというのがちょっと退屈。演出は良くても最初に冷めた気持ちを燃え上がらせてくれない。
ただラストの地上を闊歩していたゴジラが実は…という展開と、ハルオが最後に見つけたものという、次回に続ける展開があったため、そこだけ個性が見せられたかな?ラスト5分だけのためにこの点数を上げよう。
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