[コメント] 愛の狩人(1971/米)
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かつて『卒業』(1967)が大ヒットしたニコルズ監督による作品で、本作もニューシネマの特色を上手く表現し、「もう一つの卒業」と言われる。1971年全米興行成績7位。 ニューシネマの代表作の一本と言われる『卒業』だが、これも又ニューシネマっぽさが良く出た作品で、物語の構造としてはこちらの方が面白い感じ。
本作では圧倒的なニコルソンの存在感を示した作品でもあり、ニコルソンは本作で名実共に大スターとなる。ニコルソンはこの時代でも私生活は乱れきっていたと言われるが、その女好きのニコルソンがほとんど本人そのまんまって感じ。20代から50代までのそれぞれの年齢が上手くはまってる。実際この20年後、本当にニコルソンはこのまんま歳を食ってしまったのだから、今となっては見事な予言作品とさえ言えるのではなかろうかと。ほんとニコルソンの魅力ってのが大爆発した感じだ。それでもう一人の主役ガーファンクルはそもそも『卒業』の主題歌歌ったサイモン&ガーファンクルの片割れで、ポール=サイモンと較べちょっと個性が無い人だなあ。と思ってたけど、むしろその無個性さが本作では上手くはまってる。特にこの人の老けメイクは名人芸。後半の姿は本当に初老とさえ見えたほど(こんなこと褒められても本人は嬉しくないだろうけど)。その個性を生かした役付けが見事だった。
それに70年代というのが、人の関係が密接なようで希薄になりつつある時代(こういう中途半端な時代だからヒッピーや学生運動が盛んだったのかも知れないね。ニューシネマ流行りもきっとこんな時代だからこそ)。その微妙な時代を上手く切り取って見せてくれている。ただ、一つ設定部分で難点を言わせてもらうと、この作品では劇中大体30年ほどの時間が流れる訳だが、全部70年代なんだよね。まるで時代が全く変わらないことを考えているかのよう。まるでタイムカプセルの中で二人だけ歳を食ってるようにさえ見えてしまう。
これやるんだったら、もうちょっと前の時代から始めて、その時代時代の風俗なども取り入れつつ、最後に70年代に持ってくるべきだったんじゃなかろうかね?これはこれで面白いのだが、リアリティの部分で胡散臭く感じてしまったよ。
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