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[コメント] フィスト・オブ・フューリー(2002/香港)

石天龍よ「感じるな!考えろ!」
tacsas

男は各々の胸の中に心のカンフーポーズを持っている。しかしそれを無闇に人前で晒したりはしない。し、しかしこの石天龍という工場長顔をしたオッサンは・・・

恥ずかし気もなく夢の中でブルース・リーにジークンドーを習ったと宣い、そこそこの動きとともに(動きは悪くないが、基本はないらしく時折軸がブレる)、キテレツでテンポの悪い俺ワールドな話を自信満々に演じきる。このオッサンはマライア・キャリーか!?。まあいいや。とりあえずコメント表題はBruce Lee師匠の名言"Don't Think, Just Feel"を石天龍用にアレンジした。

-------------以下、フィスト・オブ・フューリーにまつわる悲しいお話。(作品の感想ではないので興味のない方は読みとばして下さい)

感想を書いておきつつ大変申し訳ないが、私はこの作品の途中で眠ってしまった。上映中、何度か目覚めるとアノ意気揚々とした石天龍のその気顔。私は何とも云えない気分で再度眠りにおちていた。

 某、池袋の劇場。隣では『AKIRA』の改訂版みたいなのが上映されていたと記憶している。その日は上映前エスパー伊東のトークショーが行なわれ、少し遅れて場内に入った私は、気を使いトークショーの邪魔にならぬよう前から4列目の端から4番目、周囲に人のないあまり目立たない席に座った。

 そして何度目になるのか、私はハっと目覚めた。そしておもむろにスクリーンに目をやる。暗い場面・・・アッ、アレ・・長いな・・ん?何も画面に映ってないみたい・・。周囲を見回す。良く見えない。んんっ?誰もいない?。そうか、AKIRAが終わるまでホッといてくれているのか。しかし暗いな。

 どうやって扉から出よう。やっぱり照れ笑いかななどと自意識過剰に考えつつ、何度もつまずきながら私は扉へと向かった。そして何とか扉までたどり着きそれを開けると、

売り場も喫煙所も入り口の外までが全て真っ暗。「俺はまだ寝ぼけているのだろうか」。いや、間違いない従業員も皆帰っちゃったのだ。「嘘って言ってよ」と思いつつ、不審がられるのも嫌なのでヘタにフロントを徘徊せず「どうにでもなれ」と鍵のかかった入り口を勝手に開錠し外に出た。といってもそこは変わらずビルの中。同フロアの他のお店も完全に閉店している。来る時には普通に「チン!」などと軽快に音をさせ動いていたはずのエレベーターは眠っているかのごとく完全に停止している。「確かここは9階ぐらいだった」と仕方なくビルを探索し(あぁこんな事しているのはイタズラでサンシャイン60に忍び込んだ高校生の時以来だ)いくつかの扉を通り抜け荷物用のエレベーターらしきものを発見した。何喰わぬ顔をして勝手にそれに乗り込み急いで下へ降りた。そしてやっと池袋の本当の裏の裏みたいな通りに出た。あぁ出れたんだ。これはシャバの空気だ。ギリギリで電車も走っているようだ。あぁ、

いつもなら貴重な体験をしたと知合いに喜んでこの話をするところだが、自分の存在感の無さが原因なのかとあまりにヘコみ過ぎて、暫くの間、誰にもこの話ができなかった。きっと防犯カメラには哀愁を漂わせながら転ぶ私の姿が映っていたのだろう・・・。そんな哀しい私の姿を目蓋に焼きついた石天龍が笑ってる。そんな気がした私の2002年ゴールデンウィーク初日の思い出。

(評価:★2)

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