[コメント] 太陽の塔(2018/日)
これ観てやっと太陽の塔の意味が分かった。原動力はコンプレックスだったわけね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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万国博覧会開催は国際的な中の日本の立場としてはとても光栄ではあったのだが、科学の発展を伝える博覧会にふさわしいデザインというのに考えあぐねた末、科学とは全く逆のベクトルになる元始を彷彿とさせるものを作り出そうとしたというのだ。
これは科学に対比させるためと言えば聞こえは良いが、実際のところ、科学の象徴というデザインが全く浮かばなかったから、窮余の策としてデザインされたというのが面白い。
だから太陽の塔は近代を表すのではなく、人間の根源的な信仰の部分を象徴する作品となる。人類の根源的な信仰とは、太陽信仰であるという事が前提に、太陽を人格あるものとして捉え、その表の部分と裏の部分、秘部の部分をデザインしたという。
裏返して考えると、1970年時点の日本とは、本当の意味で科学の先進国になっていないというコンプレックスが見えてくる。科学力を前面に出して誇れないからこそ、原初の力というものに頼る必要があった。
コンプレックスの開き直りというのが凝縮されたのがこの塔だったと考えられる。
今の時代からすれば、それはとても素晴らしいことだったと思う。日本は“まだ”科学立国になってない。でも、これからなる!という意思に溢れていたし、始まりから出発することで、これから日本は変わっていくのだ!という主張にも通じている。
現状に満足せずに高みを目指す。これこそ日本という国の本来持っていたパワーではないかと思う。
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