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[コメント] DOWN TO HELL ダウン・トゥ・ヘル(1997/日)

第一回インディーズムービーフェスティバル優勝作品だそうだ。・・・ふーん、で? 2003年7月8日ビデオ鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







インディーズムービーフェスティバル。略して「インフェス」と、呼ぶらしい。余談なんだけど、「IMF」って略した方がカッコよくない?『ミッション:インポッシブル』っぽくて。

と、どうでもいい事をほざいてみました。

はい。正直、この作品は凄いです。金もある程度かけてて、そこらの自主映画より血糊量が比じゃない事は確かなんだけど、どうも映像から自主映画らしいパワーが見えてこない。編集テクは凄いけど、そこから特に何も感じられず「ふーん」くらいしか思えない。

脚本のメチャクチャさは別に良いし、内蔵びろーんの『羊達の沈黙』風殺人シーンなどは100歩譲って良し、としよう。

だが、映像にパワーが無い。なんか、パワーと言うよりも、他作品、つまりプロの作品を見て嘲笑している様にしか思えない。特に監督本人の演技。もうアホだね。確かパッケージには狂気云々書いてたと思うけど、どうでもいいよ。

話の内容、話の見せ方はつまらない。大体この内容だったら森でやる必要ないだろ。大体、50分程度の作品なのに終わるのが待ち遠しかった。

大体、これは自主映画なのだから、「自主映画」の視点で評価するべきなのだろうけど、だったらもっと工夫しろよ。血糊噴出させて内臓びろーんさせれば「カッコイイ」「斬新」なのか?と。何をやりたいのかも曖昧。

一つだけ確かなのは監督本人の編集テクニックを見せびらかしたかった、と言う事。そう、今作は北村マジック(謎)、つまり主役のナルシズムは控え目で、基本的には映像テクニックに比重が置いてある。確かに、映像テクニックは凄い。

だが、凄いから何?映画一本として見るとインパクトは薄い。それに、これを見る前に『太陽を盗んだ男』を見たのだが、あの映画の東海村原発潜入シーンのストップモーション細切れの方が圧倒的にインパクトが大きかったし、随分カッコよかった。

大体、インフェスって結局話の内容なんてどうでもいいのかな?この話は明らかに編集テクを見せる為に作られた、云わば漬物的脚本なのだ。サスペンスシーンを演出する為に、「追う側、終われる側」を設定し、車に終われ、隠れ、忍び寄り、を見せる。そして格闘シーンを撮影し、内臓びろーんする。

そこにユーモアなどと言う物は皆無で、そしてお得意の主人公のナルシズムは薄い。だが、監督自身が自らの技術に陶酔しているのが丸見え。そう、今作は主役ではなく、監督自身のナルシズム映画だったのだ。

映像的には上手くても、カッコよくも無い。例えそれが新人離れしていようと、一本の「映画」、「フィルム」として見ると魅力は薄い。この作品に優勝を授け、そして今、海外から最も注目される新人監督として名を売っている北村龍平。

この人は表面的なテクニックはあるかもしれないが、あまりにナルシストすぎる。何よりも、現代の映画で細かい編集が常識化してきているだけに、そんな物をやられてもあまり魅力を感じない。そりゃダーレン・アロノフスキーの『π』みたいな「天才の脳みそ」を見せる為であったり、『レクイエム・フォー・ドリーム』の「地獄への垂直落下」を描く為に用いた細かい編集なら効果的かもしれないが、ありふれたストーリーのありふれたシチュエーションをありふれた映画と同じ様に細かく千切りにされても魅力は感じない。

編集が上手いのは結構な事だし、それでカッコイイアクション、緊迫感溢れるサスペンスシーンが撮れるかも知れない。が、その前にこの映画には工夫が見られない。

(評価:★1)

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