様々な時代が展開する異次元の世界で主人公が敵とひたすら戦い続けるストーリー展開はほとんど『IZO』と同じ｡

しかし､『IZO』が主人公の目的のない殺戮をひたすら繰り広げる話なら､この作品は耳無し芳一が自分の精神世界での呪縛と戦う話ということで､『IZO』に比べテーマ性もしっかりしている｡ストーリー展開もスピーディーでテンポもよく､芳一と戦う敵がどのようにして怨霊となったのかの説明もしっかりされていて親切な作り｡

また低予算ながら『ブレイド』シリーズを意識して刀で切った怨霊が煙となって消えたり､弾丸を刀で切り刻んだりと娯楽映画を意識したアクション描写も入れられ凝っている｡役者の演技の拙さはまだ目をつぶれるが出来ればワイヤー･アクションはもっとキレのある動きによるアクションを展開して欲しかったところ｡

極論すると吊るされたまま動いているだけという感じで香港映画などに観られるワイヤー･アクションのような動きや迫力が全く感じられなかった｡芳一と牛若丸対弁慶とのワイヤーアクションを駆使した格闘戦も迫力では『ブラックマスク2』にはまだまだ適わない｡